<目的>Ebi3ノックアウトマウスを用いた実験的歯周炎における、Ebi3 遺伝子関連サイトカインであるIL-35やIL-27の役割について検討した。<結果>HE染色による組織学的解析にて炎症性細胞浸潤が、Ebi3ノックアウトマウスおよび野生型マウスの両群における実験的歯周炎群で顕著に認められた。また、μCT撮像の結果より、実験的歯周炎惹起群において、Ebi3ノックアウトマウスにおける歯槽骨吸収は、野生型マウスよりも進行していた。また、実験的歯周炎惹起群の歯肉におけるIL-17Aの遺伝子発現も野生型マウスと比較し、Ebi3ノックアウトマウスにおいて有意に増加していた。その他遺伝子解析においては、Ebi3ノックアウトマウスにおけるIL-10やM2/M1マクロファージ発現比の低下やRNAKL/OPG発現比の増加が認められた。さらに、遺伝子発現で認められた代表的な因子に関して免疫染色を行い、遺伝子発現を裏付けるタンパク産生とその局在を確認することができた。次に、IL-17を産生する CD4-positive cells、γδ T cellsおよび NKT cellsの歯肉組織における比率をFACSにて解析した結果、いずれの細胞も Ebi3ノックアウトマウスの実験的歯周炎群で増加していた。最後に、Ebi3ノックアウトマウスに対して、リコンビナントIL-35を作用させると歯槽骨吸収が優位に抑制された。<結論>Th17細胞がEbi3ノックアウトマウスにおいて実験的歯周炎を増悪させ、IL-35がその抑制に関与していることが示唆された。
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