イオン注入を行う際には、注入するイオンの種類を選択して、注入するイオンの注入深度を電圧により調整する必要がある。各種イオンを様々な条件で注入した試料を引張強さ試験に供したところ、Siイオンが歯科用レジンセメントとジルコニア板との接着強さを有意に向上させることを明らかにした。また、注入量と接着強さは比例関係にはなく、単位面積当たり一定量のイオン量を注入するとその接着強さが限界に達することが明らかになった。得られたデータから、最表層に付着したイオンではなく、10~数十nmジルコニアの内側に注入されたイオンが、接着に寄与している可能性が示唆された。
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