研究課題/領域番号 |
20K18535
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研究機関 | 岡山大学 |
研究代表者 |
青柳 浩明 岡山大学, 歯学部, 客員研究員 (10814501)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | HMGB1 / 歯周炎 / M1マクロファージ |
研究実績の概要 |
我々はこれまでに,歯周炎にHMGB1が関わっていることを,歯周炎モデルマウスを用いて明らかにした。しかし,HMGB1の抗炎症効果が歯周炎における様々な免疫反応のどの経路に作用するのかは不明なままである。また,近年では,HMGB1とマクロファージの分化の関係について注目されているため,歯周炎組織においても影響があるのではないかと考え,研究を行なっている。 本研究では,骨髄由来の単球細胞にHMGB1刺激が加わると,M1マクロファージへの分化が促進されて,歯周炎における炎症反応を制御するのではないかと仮説を立て,まずHMGB1刺激によるマクロファージの分化への影響を調べるために,in-vitroで実験を行った。マウスの大腿骨の骨髄から採取した単球細胞を4日間培養して,M1マクロファージの分布をフローサイトメトリ 解析をした。その結果,コントロールであるLPS刺激群と同程度に,HMGB1リコンビナント刺激によってもM1マクロファージへの分化が促進された。次に,in-vitroで示された結果がin-vivoではどうなるのかを確認するために,コントロール群である野生型群と,HMGB1抑制群であるマクロファージ特異的HMGB1コンディショナルノックアウトマウス群とHMGB1中和抗体腹腔内投与群の3群を用いて,腹腔内マクロファージの分布をフローサイトメトリで解析した。その結果,HMGB1抑制群の2群ではコントロール群と比較してM1マクロファージの数も割合も優位に減少した。 以上の2つの結果から,HMGB1はM1マクロファージへの分化を促進することがin-vitroでもin-vivoでも確認できた。 本研究から,HMGB1の歯周炎におけるより詳細なメカニズムが明らかになるとともに,今後は,実際に歯周炎組織ではどのようになっているのかを歯周炎モデルマウスで検討していく予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
当初の予定では,血管内皮細胞特異的 HMGB1 コンディショナルノックアウト(HMGB1cKO)マウスを作製し実験を行う予定だった。しかし,HMGB1cKOマウスの作製および確立に時間がかかってしまい,次年度にずれ込むこととなった。しかし,HMGB1cKOマウスを作製準備が整ったことから,次年度は滞りなく研究が進む予定である。
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今後の研究の推進方策 |
血管内皮細胞特異的 HMGB1 コンディショナルノックアウト(HMGB1cKO)を用いたマウスおよびコントロールマウスを用いて歯周炎モデルマウスを作製する。その後,分子イメージン グによる炎症の定量,μCTを用いた新生骨の定量,組織切片を用いた免疫染色を行う。また,組織より骨髄を採取しフローサイトメトリーを用いて遊走細胞の機能解析を行う。
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次年度使用額が生じた理由 |
当該年度は、消耗品の購入について予定よりも安価に抑えることができたため,また,新型コロナウイルスの影響により予定していた本研究に着手できなかったため消耗品費について予定していた額よりも差額が生じた。 残額については,次年度、解析のための消耗品の費用に使用する。
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