研究課題/領域番号 |
20K18537
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研究機関 | 広島大学 |
研究代表者 |
濱本 結太 広島大学, 病院(歯), 歯科診療医 (00848476)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 腸内細菌叢移植 |
研究実績の概要 |
関節リウマチモデルマウス(RA)であるSKGマウスにおいて、Porphyromonas gingivalis(Pg)感染により関節炎が増悪することが知られている。Pg感染による関節炎増悪のメカニズムの1つとして、Pg感染による腸内の炎症性変化を疑った。Pgの口腔感染が腸内の炎症性サイトカインの産生を亢進し、更にTh17細胞への分化に関わるマスター制御因子であるRORYの発現亢進が認められた。加えてTh17細胞が産生する炎症性サイトカインであるIL-17のい遺伝子発現量も腸内で亢進した。このような腸内の炎症性の変化は腸内細菌の変化による免疫の恒常性破綻によるものであると考え、腸内細菌叢のメタゲノム解析を行った。その結果、Pgを感染させた群では、Pgを感染させていないコントロール群と比べて腸内細菌叢が明らかに変化していた。更に、Pgを感染させたマウスをドナーとし、Pg感染を伴わないレシピエントマウスに糞便移植を行い、変化した腸内細菌叢をレシピエントマウスに再現した。その結果、直接的なPg感染がないにもかかわらず、レシピエントマウスにおいてPg感染モデルと比べてより早期からより重度の関節炎を発症した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究予定期間のうち2年目が終了した。腸内の炎症性変化がPg感染に伴う腸内細菌叢の変化によって引きこされていることが示唆された。また、腸内細菌叢を移植することにより、直接Pgを感染させていないマウスにおいて重度の関節炎を認めた。
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今後の研究の推進方策 |
PgPADの影響を調べるため、各組織中のシトルリン化蛋白の産生の程度を分析する。また、PgPADをノックアウトした菌株を用いてより詳細に検討する。
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次年度使用額が生じた理由 |
引き続き新型コロナウイルスの影響で共同研究にやや遅れが出ている。 追加の動物実験を行い、PgPADのシトルリン化蛋白産生への影響を分析する。さらにPgPADをノックアウトした菌株を用いて、詳細な検討を行う。
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