研究課題/領域番号 |
20K18561
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研究機関 | 広島大学 |
研究代表者 |
沖 佳史 広島大学, 医系科学研究科(歯), 助教 (80806571)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | チタン薄膜 / 骨誘導再生療法 |
研究実績の概要 |
骨欠損部の骨再生は周囲骨から未分化幹細胞が凝集し骨芽細胞へ分化することで骨組織の形成が起こり,また血管新生により栄養供給が行われる。その際,骨を取り囲む軟組織(特に結合組織や上皮組織)の形成は骨形成に対して早く起こり,先に欠損部に軟組織細胞の侵入が生じると骨再生が妨げられる。そのため,より確実な早期の骨治癒を得るため,骨再生の空間保持のため軟組織と骨欠損部の界面に遮断メンブレンを設置する骨組織再生誘導療法が適応される。 歯科インプラント治療において骨量が不足する場合,バリアメンブレンを使用する骨再生誘導法が行われる。現在このメンブレン材料には,生体親和性,力学的強度および操作性に優れるチタンが広く用いられている。また,広範囲における骨欠損においても,高い空間保持能を持つチタンメンブレンが用いられている。チタン自体は生体不活性材料であり骨形成促進作用を持たない。そのためチタンに生体活性作用を付与する様々な表面改質法が提案されている。これまでインプラント体のような緻密体に有用な表面改質法は多く報告されているが,チタンメンブレンのような薄膜構造体に適用できる表面改質法については明らかとなっていない。これらのことから,申請者は,チタン薄膜の生体活性を向上する表面改質法を明らかにし,この表面改質法を用いることで,骨欠損部において確実な早期の骨再生を導き,骨形成促進作用を有するチタンメンブレンの作製を目指した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の計画通りに実験を遂行できたため。
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今後の研究の推進方策 |
今後は本研究で開発したアルカリ処理チタン薄膜にマイクロプレス加工を行い、10μmの孔径を付与したマイクロメンブレンとし,in vitroおよびin vivoにおける形成促進効の検討を行っていく。
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次年度使用額が生じた理由 |
新型コロナウイルスの影響により,学会の開催形式および研究ミーテングがオンラインとなったため,旅費が不要となったため。 次年度に繰り越された助成金により,実験材料,試薬および実験動物を購入し,実験のデータ数を増やす計画である。
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