歯周病により失われた歯周組織の再生療法やインプラント治療時の顎骨の骨造成には適応症の限界や組織の再生量の限界などにおいて改善すべき点がありより効果的で、また安全な再生療法の開発が求められている。申請者は新たな成長因子として骨形成タンパクであり、強力な骨分化誘導能を持つシグナル分子であるBMP-9に着目した。また、BMP-2刺激によって小胞体ストレス応答反応が誘導されるとの報告があり、さらに小胞体ストレスによって骨芽細胞分化が促進されるとの報告もあるがそのメカニズムについては解明されていない点が多く、BMP-9との関連についての研究報告はなされていなかったため、本研究はBMP9による骨芽細胞分化において小胞体ストレスとの関与および、メカニズムの解明を目的とした。小胞体ストレス下でのBMP-9刺激による骨分化誘導への影響を解析するため、MC3T3-E1細胞およびヒト歯根膜線維芽細胞において小胞体ストレス誘導剤添加後、BMP-9刺激による相乗効果をALPstaininng,石灰化能解析(Alizarin染色)・遺伝子発現:ALP,Runx2,Osterixで分析を行ったが小胞体ストレスの過敏な反応により再現性が取れず不透明な結果となった。そこで申請者は研究課題を切り替え、BMP-9のシグナル伝達経路の更なる解明のためにレセプター部位に着目し、遺伝子導入によりBMP-9の3つのレセプターであるEndoglin、ALK1、BMPRⅡを別々に強発現させたMC3T3-E1細胞を作製した。今後細胞をBMP-9にて刺激後、Western-blotting法およびRT-PCRにて解析予定だったが、個人的理由で研究を断念することとなった。
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