研究課題/領域番号 |
20K18567
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研究機関 | 日本大学 |
研究代表者 |
渡辺 孝康 日本大学, 歯学部, 助教 (70725514)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | インプラント周囲炎 / 細菌叢 / メタトランスクリプトーム / 機械学習 / ディープラーニング |
研究実績の概要 |
本研究では、インプラント体を埋入する予定である患者から、インプラント周囲の細菌叢検体を時系列的に採取する計画を立案している。対象となる患者は、全身疾患を有していないこと、および炎症症状の程度によってグループ分けがなされることが必要であるが、本年度はこれに合致する患者の確保が難航し、いくつかの検体を採取するにとどまる状況である。これらの検体における核酸の変性を防ぐために、超低温槽にて保存する必要があることから、本年度に当該機器を購入し、保存に利用している。また、これらの検体からRNAを抽出するにあたって、細菌RNA以外に混入しうる真核生物由来の核酸などを除去する操作を行うことで、データ解析時の精度向上に寄与する可能性があることがわかり、その条件検討を行っている。一方、本格的なデータ取得後の解析作業の準備のため、予備検討として細菌叢データに対してネットワーク解析や機械学習の適用を行い、動作状況の確認やパラメーターの検討、結果解釈に関する検討を行っている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
計画立案時点では、インプラント周囲の炎症の程度や患者が全身疾患を有するか否かによって、検体採取の対象となる患者を限定した上で、炎症の程度に応じてグループ分けを行う計画であったが、条件に合致する患者の確保に難航した結果、予定を下回る数の検体を採取するにとどまる状況である。これに伴い、検体採取以後のRNA抽出実験などにも遅れを来しているが、計画立案時点での実験方法に加えて、混入核酸の除去などの実験を行うことで、データ解析の精度向上に寄与する可能性があることがわかった。一方、データ解析作業の準備のために解析条件の検討などを行っており、これは当初は本年度に計画していなかったものであることから、研究計画全体としては軽微な進行遅延にとどまっているといえる。
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今後の研究の推進方策 |
患者の来院動向にも依るが、令和3年度において検体採取の対象となる患者の確保は達成されると見込まれ、随時RNA抽出実験以降の作業を行う方針である。万一、患者数の確保が困難な場合には、予定している患者数よりも低減させた上で以後の実験作業を行う。令和3年度には、少なくとも1回の高速シーケンサー稼働を行うことで多数個の検体の塩基配列情報を取得し、本年度に検討した内容を踏まえてデータ解析を随時行う。多数検体からRNAを抽出する実験を行う際、少量ないし多量の容量にて冷却下で遠心分離を行うことで収量向上が図れることがわかり、令和3年度には微量高速遠心機の導入を予定している。
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次年度使用額が生じた理由 |
本年度に購入した超低温槽の購入額が予定額を下回ったこと、予定していた学会発表を見送ったことで旅費への支出がなかったこと、研究計画当初に予定していた実験が遅延しており使用予定の試薬購入を一部見送ったこと、および解析に用いる計算機アカウント利用料を他の財源から拠出したため、残金が生じた。次年度への繰越金は、令和3年度の助成金と合わせて、当初予定していた実験用試薬の購入に使用する予定である。
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