研究課題/領域番号 |
20K18568
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研究機関 | 福岡歯科大学 |
研究代表者 |
加我 公行 福岡歯科大学, 口腔歯学部, 助教 (50824083)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | マイクロ・ナノパターン / PLGA / ナノインプリント / ぬれ性 / 生体吸収ポリマー |
研究実績の概要 |
本年度は,マイクロ・ナノパターン化Poly(lactic-co-glycolic acid)(PLGA)の作製と表面性状の観察を行った. PLGA(BMG, Kyoto,Japan)グラニューを熱プレス機(HC300-01,AZONE)にて,PLGAシートに加工した.PLGAシートにマイクロ・ナノパターン構造を持つ石英マスターモールドを熱プレス機(85 ℃,2 MPa)にて熱ナノインプリントすることで,PLGAシートへのマイクロ・ナノパターンの転写を行った.PLGAシートに付与したマイクロ・ナノパターン構造のSEM像及びレーザー顕微鏡による表面形状の解析を行った.熱ナノインプリント法により 0.5 μm,1 μm, 2 μm の幅を持つ(高さはすべて 1 μm)グルーブ,ピラー及びホール形状が付与されたPLGAシートを作製することができた.SEM及びレーザー顕微鏡の観察からその形状が維持されていることが明らかとなった. 続いて,パターンごとのぬれ性の評価を行った.各パターン化PLGA表面のぬれ性を評価するため,水成分に対する接触角の測定を行った.接触角計(B100;ASUMI GIKEN, Limited, Tokyo)にて,パターン表面に超純水を 2 μL滴下し,θ/2法にて接触角を計測した.パターンが付与されていない平滑面をControlとし,0.5 μm,1 μm,2 μm ピラーとホール形状はControlと比較し,有意に接触角が大きかった(p>0.05). 一方で,グルーブ形状は,水平方向と垂直方向と計測する方向で異なる結果となった.水平方向では,Controlと有意差は認められなかった.垂直方向では, 0.5 μm,1 μmのサイズで有意に接触角が小さくなった(p<0.05).グルーブ形状では,グルーブ方向に沿って親水性が向上したことが示された.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
PLGAへのマイクロ・ナノパターン構造の付与方法の検討,マイクロ・ナノパターンの形状解析および表面のぬれ性の評価と当初の予定どおり進行している.
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今後の研究の推進方策 |
本年度は,当初の計画通り,PLGAシート上で細胞培養を行う.本研究はヒト骨芽細胞様細胞 Saos-2 (Riken cell bank) とヒト歯肉由来上皮細胞 Ca9-22 (Riken cell bank) を用いて行う.10% FBS 含有DMEM中に培養を行う. a) 細胞増殖試験 各細胞培養を行い.1,3,7日目に細胞数の計測及びシート上の細胞のSEM観察を行う. b) 免疫染色 培養24時間後の各細胞のパターンの影響を観察するため接着斑(vinculin)を免疫染色し,蛍光顕微鏡にて観察を行う. c) 石灰化基質産性能評価 骨芽細胞の骨形成能力を測定する方法として,カルシウムかが沈着した骨結節を形成した石灰化能力を評価する.Saos-2 を21日間,骨芽細胞誘導倍地にて培養後,アリザリンレッド染色(コスモバイオ)を行い,実体顕微鏡にて観察を行う.
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次年度使用額が生じた理由 |
本年度,Contact angleの測定に接触角計としてDMs-301(Kyowa)を購入予定であったが,設備投資費として足りなかった.そのため測定時に,接触角計B100(あすみ技研)よりレンタルし測定を行った.そのため,大幅に予算を削減することができた.次年度に解析用PCと統計解析ソフトGraphPad Prism 9を購入し,本年度測定した実験結果,翌年度行う細胞培養試験,石灰化能やアリザリンレッド染色時の解析に利用を行う.
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