研究課題/領域番号 |
20K18576
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
岸田 良 九州大学, 歯学研究院, 助教 (90823211)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | アパタイト / 多孔体 / 骨伝導性 / 生体吸収性 |
研究実績の概要 |
本研究では、新規骨補填材として炭酸アパタイトを組成とする三次元多孔体を作製し、気孔サイズが生体反応に与える影響を評価することを目指す。特に気孔サイズとして、細胞が侵入可能な連通気孔(数十μm~数百μm)および表面積を向上させる微細粗面(数百nm~数μm)の二階層細孔分布を有する多孔体を検討する。 本年度は、この二階層細孔分布の作製法を主に検討した。炭酸アパタイト多孔体の作製は溶解析出反応を利用して行った。すなわち、前駆体となる石膏多孔体に炭酸、リン酸イオンをそれぞれ含む2種類の溶液に順次浸漬することで炭酸アパタイト多孔体を作製した。前駆体である石膏多孔体の作製は、半水石膏を組成とする顆粒の硬化反応を利用して顆粒同士を連結させることで達成した。すなわち、顆粒間隙部を連通気孔とする多孔体を得ることを検討した。色素液(トルイジンブルー水溶液)の浸透試験を行った結果から、気孔連通性を保証するためには顆粒の硬化反応に用いる水分量の調整が重要であることが見出された。また、石膏多孔体を熱処理することで気孔率ならびに機械的強度を調整することが可能であることを見出した。この熱処理を調整することで微細粗面の気孔サイズを様々に調整することが可能であることを確認した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究の評価材料である、二階層細孔分布を有する炭酸アパタイト三次元多孔体の作製に成功し、その気孔サイズを調整する方法について検討がおおむね終了しているため。
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今後の研究の推進方策 |
次年度中に評価材料で比較検討を行う気孔サイズ群を決定するための基礎検討を終了する予定である。その後、生体反応(in vitro, in vivo評価)を順次実施し、気孔サイズの影響を検討する。
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次年度使用額が生じた理由 |
主に、参加予定であった学会等の旅費がオンライン開催となったため未使用となった。本年度の研究から、評価材料の重要な物性が明らかになったため(気孔サイズ・気孔連通性)、次年度以降の物性検討を十全に行うために未使用額を使用する予定である。
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