研究課題/領域番号 |
20K18600
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
高岡 亮太 大阪大学, 歯学部附属病院, 医員 (20733968)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 変形性顎関節症 / 遺伝子多型 |
研究実績の概要 |
変形性顎関節症(OA)は顎関節部疼痛や顎運動障害を生じさせ、症状が強い場合には患者のQOLを著しく低下させる.しかし,その発症機序には明確なエビデンスは存在せず,発症が予知できないのが現状である。一方、顎関節以外の膝関節や股関節等における変形性関節症では、その発症に対する一塩基多型(SNP)の関与が報告されている。顎関節においても変形性顎関節症に遺伝的要素が関与している可能性はあるが、これまでに詳細な検討はなされていない。そこで本研究では、顎関節症症状を主訴しMRI検査を受けた患者から遺伝子を採取し,変形性顎関節症に関与するリスク遺伝子のSNPを探索することを目的とした。令和2年度は日本補綴歯科学会において,予備調査により得られた研究結果を以下のように発表した. 研究対象は患者84名の遺伝サンプルとした.変形性顎関節症の診断はMRI検査により行った.下顎頭の片側もしくは両側に変形性顎関節症が認められる被験者をOA群,両側ともOAが認めらない群をnon-OA群とした.DNA試料は被験者の頬粘膜から非侵襲的に採取した.OA群とnon-OA群の群間において,FTO遺伝子のSNP(rs804476)の各アレルの分布に有意差を認めた.FTO遺伝子は肥満遺伝子として知られているが,全身の変形性関節症への関与も報告されており,今回の予備調査においても同様に変形性顎関節症とFTO遺伝子のSNPが関連している可能性が示唆された.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
研究計画どおり,実施態勢は万全に整っており,臨床検査データや遺伝サンプルの獲得は問題なく実施できている.しかし,コロナウィルスの影響により患者が大幅に減少しており,予定していた数のサンプルが獲得できなかった.
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今後の研究の推進方策 |
顎関節症を主訴として来院する初診患者の遺伝子サンプルとMRIデータは引き続き獲得していく.予定していた被験者数が獲得できなかった場合,以前に顎関節部のMRI撮影が終了し,加療のために来院している患者に研究を依頼し,遺伝サンプルの獲得を試みる.遺伝子データが集まった段階でSNP解析を依頼する.得られた結果を用いて統計解析を行い,候補リスク遺伝子と変形性顎関節症の関連を検証する.研究結果は国際学会(International college of prosthodontics)にて発表する.また,海外学術誌への投稿の準備を進める.
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次年度使用額が生じた理由 |
コロナウィルスの影響により十分な被験者の獲得ができず,遺伝解析を実施することができなかったため,予定していた額と大きな誤差が生まれた.次年度では初診患者だけでなく,加療中の患者のデータも積極的に収集し,合計190名の遺伝解析の実施を目指す.
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