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2020 年度 実施状況報告書

CCN3を介した新たな軟骨細胞老化制御機構の解明

研究課題

研究課題/領域番号 20K18601
研究機関岡山大学

研究代表者

桑原 実穂  岡山大学, 大学病院, 医員 (30868287)

研究期間 (年度) 2020-04-01 – 2022-03-31
キーワード軟骨細胞 / CCN3 / 加齢 / 細胞老化 / 酸化ストレス / 変形性関節症 / 細胞周期停止因子 / 細胞老化関連分泌形質(SASP)
研究実績の概要

加齢を最大のリスクファクターとする、関節軟骨の変性を特徴とする変形性関節症は顎関節を含む全身の関節に生じ、関節機能の障害・疼痛による日常生活動作や社会的活動の制限が問題となるものの根治療法はないのが現状である。また顎関節等外科的介入が困難な部位があることから、初期の段階で軟骨変性を阻止するべく、発症機構解明とそれに基づく有効な保存的治療法の確立が急がれている。本研究では、軟骨細胞の老化促進にCellular communication network factor 3 (CCN3)が関与しているのではないかと考え、令和2年度に以下の結果を得、学会発表および国際誌への論文発表を行った。
1.胎児から37週齢までの異なる週齢のマウス肋軟骨および関節軟骨由来初代培養軟骨細胞において、細胞周期停止因子p16, p21, P53, 細胞老化関連分泌形質(SASP)関連因子とともに, 加齢にともなったCCN3遺伝子発現レベルおよび膝関節切片の染色性の正の相関関係を認めた
2.ヒト初代培養軟骨細胞およびラット軟骨細胞様細胞株(RCS)に酸化ストレスによって人為的な細胞老化を誘導したところCCN3 mRNAおよびタンパクの発現上昇を見出した
3.RCSでCCN3の過剰発現によりp21プロモーター活性の上昇を認め、マウス初代培養軟骨細胞およびRCSにリコンビナントCCN3タンパクを添加したところp21およびp53遺伝子発現レベルの上昇を認めた
4.軟骨組織特異的CCN3過剰発現マウスの膝関節軟骨組織に変性所見を認め、同マウス肋軟骨由来初代培養軟骨細胞においてSASP関連因子、細胞周期停止因子の遺伝子上昇が観察された
5.ヒト患者関節軟骨由来初代培養軟骨細胞において、CCN3, 細胞周期停止因子の遺伝子発現と年齢との強い正の相関を認め、膝関節組織において加齢とともに強いCCN3タンパクの染色像が見られた

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

当初計画していたCCN3の軟骨細胞老化への関与を示す予備的知見の確認と、その分子メカニズムについての検証とトランスジェニックマウスの組織学的解析は順調に進んだ。さらに研究途中で最終年度に行う予定であった論文報告を行った。しかしながら当初本年度中に予定していたマウス関節軟骨におけるCCN3ノックアウトの実験は、COVID-19の影響に伴い実験スケジュールの目処が立たなかったことから本年度中に遂行に至らなかった。これらの点を考慮し、2020年度の研究進捗状況はおおむね順調に進展していると判断した。

今後の研究の推進方策

今後、正常マウスの膝および顎関節の関節腔内における部位限局的なゲノム編集を予定しており、その影響の検証のため老化指標や基質産生・分解についての組織学的解析を行う。さらに同組織から軟骨細胞を単離した後分子レベルでの細胞老化状態を解析する。

次年度使用額が生じた理由

本年度中に予定してたマウス関節軟骨におけるCCN3ノックアウトの実験は、COVID-19の影響に伴う実験スケジュールの変更で本年度中に遂行に至らなかったため、未使用額が生じた。これらの実験は次年度に行うこととし、未使用額はその経費に充てることとする。

  • 研究成果

    (8件)

すべて 2020

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (7件)

  • [雑誌論文] CCN3 (NOV) Drives Degradative Changes in Aging Articular Cartilage2020

    • 著者名/発表者名
      Kuwahara, M., Kadoya, K., Kondo, S., Fu, S., Miyake, Y., Ogo, A., Ono, M., Furumatsu, T,, Nakata, E., Sasaki, T., Minagi, S., Takigawa, M., Kubota, S., Hattori, T.
    • 雑誌名

      International Journal of Molecular Sciences

      巻: 21 ページ: e7556

    • DOI

      10.3390/ijms21207556

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [学会発表] 軟骨組織におけるCCN3の老化促進作用2020

    • 著者名/発表者名
      桑原実穂、 近藤 星、Fu Shanqi、大野充昭、古松毅之、中田英二、皆木省吾、滝川正春、久保田聡、服部高子
    • 学会等名
      第43回日本分子生物学会年会
  • [学会発表] 軟骨細胞老化促進因子としてのCCN32020

    • 著者名/発表者名
      桑原実穂、武内聡子、近藤 星、Fu Shanqi, 大野充昭、古松毅之、中田英二、滝川正春、久保田聡、服部高子
    • 学会等名
      第33回日本軟骨代謝学会
  • [学会発表] Effect of melatonin on rhythmic gene expression in human articular chondrocytes.2020

    • 著者名/発表者名
      Fu, S., Kuwahara, M., Uchida, Y., Hyashi, D., Shimomura, Y., Takagaki, A., Nishida, T., Nakata, E., Furumatsu, T., Kondo, S., Maruyama, Y., Hattori, A., Kubota, S., Hattori, T.
    • 学会等名
      第93回日本生化学会大会
  • [学会発表] Effect of melatonin on rhythmic gene expression in human articular cartilage.2020

    • 著者名/発表者名
      Fu, S., Kuwahara, M., Uchida, Y., Kondo, S., Hyashi, D., Shimomura, Y., Takagaki, A., Nishida, T., Maruyama, Y., Ikegami, M., Hattori, A., Kubota, S., Hattori, T.
    • 学会等名
      第38回日本骨代謝学会学術集会
  • [学会発表] メトホルミンの軟骨細胞分化に対する作用の解析2020

    • 著者名/発表者名
      近藤星, 服部高子, 桑原実穂, Fu Shanqi, 森谷徳文, 飯田征二, 滝川正春, 久保田聡
    • 学会等名
      第41回岡山歯学会
  • [学会発表] non-coding RNAを介したメトホルミンの抗線維化作用の解析2020

    • 著者名/発表者名
      近藤 星、服部高子、桑原実穂、Fu Shanqi、西田 崇、吉岡洋祐、森谷徳文、飯田征二、滝川正春、久保田聡
    • 学会等名
      第43回日本分子生物学会年会
  • [学会発表] 腸内細菌の有無が胎児内軟骨成長に与える影響2020

    • 著者名/発表者名
      内田瑶子、服部高子、福原大樹、Fu Shanqi、近藤 星、桑原実穂、イスラム モニルル、片岡広太、江國大輔、久保田聡、森田 学
    • 学会等名
      第33回日本軟骨代謝学会

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公開日: 2021-12-27  

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