研究実績の概要 |
重合触媒濃度を3条件に設定して試料をラットの頭部に埋入し,埋入後1か月,2か月,4か月,9か月後にCT撮影を行い,試料埋入部を観察した.コラーゲンスポンジをφ8mm厚さ2mmにトリミングした.DVAの光重合触媒量は,カンファーキノン:第3級アミンをA群1.2:4.8w/v,B群0.6:2.4w/v,C群0.3:1.2w/vで調整し,BMP2は10μg/30μlDVAに調整した.DVA/コラーゲンスポンジ質量比は13/2とし,嫌気条件下で180秒間光照射し重合させた.8週齢のWistar系雄性ラット15匹を5匹ずつの3群に分け,麻酔下でA, B, C群の試料を頭蓋骨上正中に位置付けて骨膜と皮膚を縫合した.術後1, 2,4および9ヶ月後にX線μCT装置を用いて対象部位の観察を行った.その後,頭蓋骨ごと試料を採取し,試料の中央で前後に2等分して,前方部は脱灰後にパラフィン包埋して,ヘマトキシリン・エオジン(H-E)染色を行い,病理組織学的観察を行った.後方部はVillanueva骨染色後にMMA包埋して,非脱灰研磨標本を作製した.全組織量(TV),骨組織量(BV),PDVA量ならびに試料高さを計測し,BV/TVを算出した. μCTでは1か月後にはいずれの実験群でも骨組織の形成が見られたが,A群に比べるとB, C群の形成骨量は少なかったが,9か月後まで形態はほぼ維持された.病理組織学的には試料内に線維性組織が侵入して,既存骨表面から試料内に新生骨の部分的形成が認められた.PDVA表面には多核細胞が少数存在したが,炎症性細胞浸潤は認められなかった.BV/TVはA群ではB, C群に比べて有意に多い新生骨が見られた.また,A群の残存PDVA量はB, C群よりも有意に多く,試料高は C群よりも高かった. 以上の結果から,光重合触媒量によってPDVAの吸収速度を調整可能であることが示唆された.
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