研究課題
幹細胞研究を行う上での問題点として、幹細胞を培養、継代していく過程で、幹細胞の多能性が減弱してしまうことが挙げられる。また、従来の接着培養法では、細胞への最適環境を維持しながら細胞接着面積を大規模化するのは構造面とコスト面で困難であることから、大スケール培養と生産には不向きであり、現状では効率的に大量かつ良質な幹細胞を増殖させる技術が確立しているとは言い難い。そこで本研究では、幹細胞の多能性維持と大量培養の両立を目的とし、その方法としてドーム状の低接着性ディッシュを使用した浮遊培養法に着目する。幹細胞を低酸素環境で培養することで多能性が向上することが知られており、浮遊培養法により細胞同士で凝集塊を形成させれば、その内部で低酸素環境を得られるのではないか、という点に着目したのが本研究課題の特徴である。また通常の2次元的な細胞培養ディッシュ上で培養する手法と比較して、浮遊培養法では3次元的に任意の方向に細胞塊が成長できるため、飛躍的に多くの細胞を得ることができる可能性を秘めている。これは非常に基幹的な技術であるため、成功すれば幅広い研究分野に応用されることが期待される。
すべて 2021
すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件、 オープンアクセス 1件)
Materials
巻: 14(16) ページ: 4457
10.3390/ma14164457.