研究課題/領域番号 |
20K18606
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
竹村 陽子 九州大学, 大学病院, 助教 (60778869)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | 口腔インプラント / 骨リモデリング / メカニカルストレス |
研究実績の概要 |
口腔インプラント治療は、欠損補綴を有する患者の重要な選択肢の1つである。インプラント治療が開始されてから長い年月が経ち、長期の有効性が示されるとともに、患者自身の加齢による体調の変化や、口腔内の変化によりインプラント周囲組織に炎症や骨吸収を生じるケースも多く報告されている。骨代謝にメカニカルストレスが重要なことはよく知られているが、天然歯と違って歯根膜がなく、骨と直接結合(オッセオインテグレーション)しているインプラントの咬合力がどのように骨代謝に影響を及ぼしているかはまだ未解明な部分が多い。そこで本研究では、オッセオインテグレーション獲得後の、患者側の変化である咬合支持の変化を生じた動物モデルを用いて、インプラント周囲骨代謝を解明することを目的とした。 ラット顎骨インプラント埋入モデルを用いて、インプラント上部構造の高さを0.5 mm(おおよそ歯肉同縁)、1.0 mm(おおよそ隣在歯咬合面中心窩の高さ)、1.5 mm(おおよそ隣在歯咬頭の高さ)に設定した。研磨標本による解析で、骨ーインプラント接触率は、1.5 mm群と比較し、0.5 mm、1.0 mm群で有意に高かった。骨面積率では、1.5 mm 群が0.5 mm群と比較し有意に高かった。また、オッセオインテグレーション後に隣在歯群を抜歯したモデルでは、抜歯後1週間後に骨ーインプラント接触率が有意に低下していたが、骨面積率では変化を認めなかった。 強い咬合力はインプラント体と骨の接触であるオッセオインテグレーションを阻害するが、骨代謝には優位に働く可能性が示された。さらなる解析をおこない、骨動態の解明へと繋げたい。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
過程の事情と、診療、教育業務にかける時間が必要であり、研究時間の制約がある。しかしながら、動物実験はほぼ終了しており、今後は解析を順調に進めていくことができると考えている。
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今後の研究の推進方策 |
動物実験により得た試料を、非脱灰凍結切片、レーザーマイクロダイセクション、リアルタイムPCRにて解析をおこなっていく。骨細胞動態に関しては細胞実験も加え、メカニズムの解析を進めていく予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
細胞実験をあまり進めることができなかったため、余剰金が生じた。来年度、細胞実験と、動物実験の解析の試薬等を購入するため、使用していく予定である。
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