研究課題/領域番号 |
20K18621
|
研究機関 | 大阪歯科大学 |
研究代表者 |
山脇 勲 大阪歯科大学, 歯学部, 助教 (70805176)
|
研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
|
キーワード | インプラント |
研究実績の概要 |
糖尿病モデルラットから骨髄間葉系細胞を採取し,3代目を実験に供試した。 純チタンプレートを10M水酸化ナトリウム水溶液に室温で24時間浸漬し,加熱処理を行うことによって,表面に酸化ナノ構造を析出した酸化ナノ構造析出チタンプレートを作製。 酸化ナノ構造析出チタンプレート上にて,グルコース濃度(5.5,8,12,24mM)とインスリン濃度(0,6.875,27.5,110μU/mL)に調整した培養液で,骨髄間葉系細胞を播種し,細胞増殖を評価した。高グルコース濃度では,細胞増殖が低下した。さらに,分化培地にて培養を行い,アルカリフォスファターゼ活性,オステオカルシン産生量,カルシウム析出量を測定した。高グルコース環境では,アルカリフォスファターゼ活性は低下したが,オステオカルシン産生量とカルシウム析出量は8mMでは著しく低下したが,その後グルコース濃度で再度増加した。また炎症性サイトカインも,高グルコース環境では増加する傾向を示した。高グルコース環境では,骨髄間葉系細胞がオステオカルシンを産生することで,血管内から体内に循環し,肝臓のβ細胞に到達するとインスリンの産生量を増加させることから,骨髄間葉系細胞周囲のインスリン濃度が上昇することで,オステオカルシン産生が再度抑制させる可能性があるが,インスリン添加による影響については、まだ不確実な点を認めるため,インスリン濃度の調整を考慮した再実験を行う予定である。 また,Porphyromonas gingivalisを酸化ナノ構造析出チタンプレート上で培養した結果,無処理チタンプレートと比較して,細菌数が減少した。今後は,Aggregatibacter actinomycetemcomitas,Prevotella intermedia,Treponema denticolaの細菌を用いて細菌付着試験を行う予定である。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
高グルコース環境では,アルカリフォスファターゼ活性は低下したが,オステオカルシン産生量とカルシウム析出量は増加した。また炎症性サイトカインも,高グルコース環境では増加する傾向を示した。 インスリン添加によって,オステオカルシン産生量が低下し,硬組織形成量が低下したが、 インスリン添加による細胞内に及ぼす詳細な影響については、まだ不確実な点を認めるため,インスリン濃度の再度調整して行う予定である。
|
今後の研究の推進方策 |
インスリンの適切な濃度を策定とAggregatibacter actinomycetemcomitas,Prevotella intermedia,Treponema denticolaの細菌を用いて細菌付着試験を行う予定である。
|
次年度使用額が生じた理由 |
インスリンの影響についてさらに詳細な部分まで検討するため,次年度まで研究を継続することとした。次年度はインスリンの適正濃度の策定を行う予定としている。
|