研究課題/領域番号 |
20K18627
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研究機関 | 新潟大学 |
研究代表者 |
江口 香里 新潟大学, 医歯学総合病院, 助教 (10779614)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 歯科金属アレルギー / 免疫寛容破綻 / モデルマウス |
研究実績の概要 |
歯科金属材料がアレルギーの原因となることがある。歯科治療が原因となる歯科金属アレルギーは医原病であり、歯科が解決する責務を負う課題であるが、いまだに金属の体内侵入経路やアレルギー発症の起点すら解明されていない。歯科金属アレルギー治療の第一選択は口腔内の抗原被疑金属除去であるが、近年、歯周治療によって歯科金属アレルギー関連疾患の症状が寛解するとの報告も増えている。しかし、歯科金属アレルギー関連疾患と歯周病および歯周治療との関連性を病態生理学的に検証した研究はない。本研究の目的は、新たに歯周病を併発した経口歯科金属アレルギー動物モデルを確立し、金属補綴修復物と歯周病による免疫寛容の破綻が歯科金属アレルギー発症機序の起点になるか否かを明らかにすることである。本研究の遂行により、金属の体内侵入経路とその機序が明らかになる。また、治療標的を明らかにすることができれば、歯科金属アレルギー関連疾患の症状寛解に有効な歯科処置のエビデンス構築に貢献することができる。 研究期間の初年度となる本年度は、ニッケルおよびパラジウムに対する歯周病併発経口歯科金属アレルギー動物モデルを作成するため、感作、惹起等の試適条件の検索を行った。歯周病を併発させた場合、金属アレルギー単独の場合と比較して炎症症状が増悪することが示唆された。現在は作成したモデル動物の金属アレルギー発症部位における炎症の評価のため、組織学的解析を進めている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
新型コロナウイルスの影響により一時動物実験が行えない期間があったことも影響し、当初計画していた動物モデルの確立までは至ることができていないが、動物モデル作成のための試適条件の検索は順調に進んでいることから「やや遅れている」とした。
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今後の研究の推進方策 |
今後は、歯周病併発経口歯科金属アレルギー動物モデルを確立させ、腸管透過性および腸管免疫の変化について解析することを予定している。小腸、大腸を採取し、H-E染色及び免疫組織染色を用いて組織学的解析を行うとともに、腸管上皮のタイトジャンクション形成に関わるタンパク質について、遺伝子発現解析及びタンパク質発現解析を行い、腸管透過性について解析する。更に、各種免疫細胞の組織学的解析および遺伝子発現解析を行うことにより、対照群とモデル動物との腸管免疫の変化について評価する。
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次年度使用額が生じた理由 |
新型コロナウイルス感染対策のため動物実験施設に使用制限があり、当初の予定通りには動物の購入、飼育を行えない期間があったため、当初予定していたよりも動物実験に関わる費用が少なく計上された。
次年度にモデル動物確立のための追加の動物実験を予定している。当該予算はその費用に充てる予定である。
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