研究課題
本研究は、国立循環器病研究センター予防健診部による循環器コホート調査である「吹田研究」を母体として進めている。令和3年度は、国立循環器病研究センター内での人事異動に伴う新体制の準備や新型コロナウイルスの感染拡大に伴い、歯科健診を予定通りに実施することができず、歯科健診者数は0名であった。これまで蓄積したデータベースの合計は、ベースラインデータが2339名、再評価データが1473名となる。これらのデータを用い、歯周病や、咀嚼能力や咬合力などの口腔機能と、動脈硬化やメタボリックシンドロームなどの循環器疾患との関連について、以下の課題について解析を行い、明らかにすることができた。①ベースライン時の口腔健康状態(歯数や咬合支持、歯周状態など)から5年後の咀嚼能力低下を予測するモデル式の構築、②唾液中のストレスマーカーであるIL-6やコルチゾールと咀嚼能力の低値との関連、③歯周病の悪化が経年的な咀嚼能力低下に及ぼす影響、④咀嚼能力の低値および歯周病と将来的なメタボリックシンドローム新規罹患との関連、⑤最大咬合力の低値が将来的な動脈硬化性疾患(脳卒中、心筋梗塞)の発症におよぼす影響上記のように、循環器疾患のリスク因子である歯周病や口腔機能との相互の関わりを示すことができた。さらに、それらを多面的に評価することで、口腔健康と動脈硬化やメタボリックシンドロームをはじめとする循環器疾患との関連についての基礎資料を得ることができた。
咀嚼機能とメタボリックシンドローム発症との関連についての知見を示したプレスリリースが、大阪大学歯学部・大学院歯学研究科ホームページ上に掲載された。
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すべて 雑誌論文 (6件) (うち査読あり 5件、 オープンアクセス 3件) 学会発表 (1件) 備考 (1件)
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