研究課題/領域番号 |
20K18631
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研究機関 | 新潟大学 |
研究代表者 |
村上 和裕 新潟大学, 医歯学総合病院, 助教 (60804490)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 高齢者歯科 / 摂食嚥下 / 食品工学 / 顎口腔機能学 |
研究実績の概要 |
本研究は、摂食嚥下障害の既往のない若年者および高齢者を対象者とし,様々な研究や臨床の現場で利用されている口腔機能検査(咬合力検査、舌運動検査、嚥下検査など)を用いて,摂食嚥下能力を包括的に評価する.また,5種類の異なる力学的特性を有するゼリー食品を摂取する際の摂食嚥下動態(口腔咽頭器官の仕事量や努力性)を舌圧測定と筋電図測定により評価し,前述の口腔機能検査の結果との関連性を見ることで,個々の能力の違いで摂食嚥下動態がどのように異なるかを明らかにすることを計画したものである. 現時点では、若年者10名の生体計測を終えている.健常若年者においては、残存歯数が同じでも、最大咬合力が大きい対象者の方が低い対象者よりも嚥下するまでの咀嚼回数が少なく、食品の破砕度は咀嚼1~5回目の時点ですでに大きな差が生じていることを明らかにした.また、歯による咀嚼が必要でない食品を摂取する際に行っている「舌押し潰し」時では、最大舌圧が大きい対象者の方が、小さい対象者と比較して,押し潰しの回数が少なく,押し潰し1回1回の舌圧が高くなる傾向を示した.これらの結果から、最大咬合力や最大舌圧は,咀嚼や舌押し潰しの動態に影響を及ぼす因子であると考えられ,摂食嚥下能力が低下した高齢者に対すて食品を提供する際に考慮すべき評価項目になりうることが示唆された. これまで、上記の結果の一部を国内学会にて1件発表を行った. 本研究に関連した論文が英文科学雑誌(J Texture Stud)に1編採択された.また,現在英文科学雑誌への投稿のために、論文を2編作成している段階である.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
当初の研究予定では,令和2年度から若年者および高齢者を対象として、生体計測を行う予定であった.しかし,新型コロナウイルス感染拡大により,長期間研究活動を行えなくなった.規制が緩和された後も,特に高齢者を対象とした計測を行うことが困難であったため,健常若年者約10名の計測を終えるにとどまった.今後、高齢者の計測を行えるかどうかに関しては、新型コロナウイルスの感染規模の影響を受けるため、現在のところは見通しが定まっていない状況である.
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今後の研究の推進方策 |
新型コロナ対策を講じながら、令和2年度に行う予定であった若年者および高齢者を対象とした生体計測を今年度も計画している.また,昨年度に得られた生体計測データを一部解析する予定である.
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次年度使用額が生じた理由 |
新型コロナウイルスの感染拡大により、実験参加者のリクルートが困難であった.そのため、必要な消耗品の購入ができなかった.さらに,全ての学会がWeb開催になったことで,旅費の出費がなかったことが考えられる.
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