ウレタン麻酔下において発現する歯ぎしり様のリズミカルな顎運動および咀嚼筋活動の特性を解析し、さらに、これらの運動と関連する脳波や心拍数、呼吸数の変化について解析した。すでに取得しているウレタン麻酔下において記録したデータから、脳波、心電図、咀嚼筋筋電図、さらに呼吸活動と下顎運動軌跡を用いて解析した。まず、自作プログラムを用いて、咬筋筋活動を検出しその活動様態を解析した。歯ぎしり様のエピソードは、1時間当たり18.5回/hrの頻度で発生した。このエピソードの持続時間は、平均6.4±9.1秒で、エピソード当たりのバースト数は8.00±11.8回であった。また、咬筋筋活動バーストの持続時間は平均0.44±0.65秒、バースト間隔は平均0.78±1.0秒であった。また、リズミカルな顎運動のエピソードは近接して出現するクラスターを形成するが、クラスター当たり4.0±2.9回のエピソードが発現した。次に、クラスター開始を起点として、脳波、心電図、呼吸活動の変化を解析した。脳波はパワースペクトラル分析により求めたパワー値をもとに、各周波数帯域の占有率を算出した。心拍数はRR間隔より10秒当たりの平均心拍数を算出し、呼吸数も同様に鼻呼吸流のピーク値をもとに10秒間当たりの平均呼吸数を算出した。脳波のα波およびγ波帯域の占有率は、クラスター開始直後、20秒から30秒間著明な増加を示した。心拍数については、クラスター開始前後で著明な変化を認めなかった。呼吸数については、脳波と同様に、クラスター開始直後から数十秒間の間は、著明な増加を示した。
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