睡眠時ブラキシズム(Sleep Bruxism: SB)は睡眠中の歯のグラインディングやクレンチングを特徴とする睡眠関連運動異常症と定義されている.SBによって生じる過大な咬合力は,歯や歯周組織など顎口腔系の諸器官に様々な障害や補綴装置の破損を引き起こす可能性があるためSBの正確な診断は臨床的に重要である. Audio/video睡眠ポリグラフ検査(PSG),咬筋EMGを付与した簡易睡眠検査装置(Portable PSG),シングルチャネルのEMGなどを用いれば客観的な測定データをもとに診断が可能である.しかし,一般的には問診や口腔内所見をもとにした診断が行われており,こうした診断の信頼性は必ずしも高くはない. ここで,申請者らは睡眠時ブラキシズムの管理に標準的に用いられているオクルーザルスプリント(Occlusal Splint: OS)に着目した.オクルーザルスプリントは睡眠時ブラキシズムによって対合歯との摩擦によって削れていくことにより対合歯を保護する目的の装置である.そこで患者が使用しているオクルーザルスプリントの咬合面に生じた摩耗を定量化し,SBレベルとの関連性を明らかにできれば,OSの形態変化を指標としてSB評価が可能である.そこで,本研究では,OSの咬合面に生じた摩耗を歯科用ラボスキャナーで定量化し,咬筋EMGを付与したPortable PSGより得られたSB筋活動との関連を検証した.
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