研究課題/領域番号 |
20K18647
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研究機関 | 東京歯科大学短期大学 |
研究代表者 |
中田 悠 東京歯科大学短期大学, 歯科衛生学科, 講師 (40844634)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 神経筋電気刺激 / NMES / 咀嚼筋 / 超音波画像 |
研究実績の概要 |
神経筋電気刺激(Neuromuscular Electrical Stimulation; NMES )は,経皮的な電流刺激により筋収縮を促す治療的アプローチである。断続的な筋収縮により筋力を増強させることから,廃用性筋委縮の予防や運動機能障害のリハビリテーションに効果的であると言われている。本研究では,咬筋および側頭筋に対してNMESを施行し,筋の変化を超音波画像診断装置にて定量評価することでその効果を検証することを目的とした。 今年度は初年度として健常成人を対象にNMESおよび評価を行った。まず初回評価として超音波画像診断装置(SonoSite iViz,富士フィルムメディカル)を用いて側頭筋,咬筋の厚みの計測と,感圧シート(デンタルプレスケールⅡ,ジーシー)にて咬合力の計測を行った。その後,側頭筋,咬筋に対して市販のNMES機器(フォトプラス,YAMAN)を用いて1日30分,週3回のNMES訓練を8週間施行した。再評価として,訓練開始4週後,8週後に初回と同内容の検査を行った。 健常成人7名を対象にNMESを実施したところ,咬筋は訓練開始後4週から8週目にかけて筋厚の増大を認めた(p<0.05)。側頭筋は訓練継続に伴い増大傾向ではあるが,有意な差はみられなかった。咬合力は訓練開始時から4週目にかけて増強した(p=0.001)。 以上のことから,市販のNMES機器を用いたNMESは咀嚼筋の増強に繋がる可能性が示唆された。今後は症例数を増やし,適切な訓練頻度などについて検証していく予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
新型コロナウイルス感染症流行初期であった今年度前半では,所属機関において感染対策の一環として研究活動が制限された。そのため研究の開始が遅延することとなった。制限が緩和された後からは,十分な感染対策を実施した上で7名の協力者を対象に実験を行っている。
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今後の研究の推進方策 |
引き続き研究協力者の募集を行いつつ,データ採取を行っていく。今後は,訓練を週1回,週3回で行った場合の効果の差を検証し,適切な訓練頻度について検討していく予定である。また,異なる機器を用いて筋の増強効果の検証も行っていきたいと考えている。
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次年度使用額が生じた理由 |
健常者ボランティアのデータ採取が完了したのが年度末であったため,成果報告のための学会参加に到達しなかったことが理由と考えられた。次年度に繰り越し,積極的な発表を行っていく。
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