昨年度までに、歯科においてもノセボ効果が問題になりうる可能性を総説およびメタ分析により示した。共同研究者のオーフス大学(デンマーク)Lene Vase教授やMette Sieg大学院生らとのディスカッションを通して、ノセボ効果を検討する上で、国の違いによるノセボ効果に対する意識の違いについて考慮に入れる必要性があると考えるようになった。そこで、デンマーク、アメリカ、日本におけるノセボ効果に対する意識についての国際間比較を行った。webアンケートツールを用いて、日本においては薬の服用時と、外科手術時の副作用について2種類の質問票、各1000人分のデータを収集した。それぞれノセボ効果の認知度や、医師が患者に副作用について伝えるときのジレンマ(ノセボ効果は小さくしたいけれども副作用についてはしっかりと伝えなければならない)、ノセボ効果を小さくするための副作用の伝え方についてなどの40項目程度の質問票で、大変興味深い結果が得られた。同様に収集したデンマークやアメリカにおける結果と比較解析を行い、現在投稿準備中である。また、プラセボ効果、ノセボ効果の解析において、ポストGWAS解析の手法が応用できないかを考察し、ドイツのデュイスブルグで開催された、学際的プラセボ研究のための学会において発表した。また、現在日本多施設共同コーホート研究において、生活習慣と疾患との関連に対する遺伝子多型の効果修飾の解析を行っており、近い将来、プラセボ効果やノセボ効果の研究においても同様の手法を用いた解析を行っていきたいと考えている。
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