研究課題/領域番号 |
20K18678
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研究機関 | 昭和大学 |
研究代表者 |
佐藤 仁 昭和大学, 歯学部, 講師 (00594954)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 血管新生阻害薬 |
研究実績の概要 |
三叉神経損傷の多くは顎口腔内の手術,主に歯科治療や口腔外科手術による医原性であることを特徴とする。神経損傷に伴い断片化したミエリンの分解・除去には,シュワン細胞や血管内皮細胞のオートファジーが関与し,効率的な末梢神経再生に重要な役割を果たす。本研究では,オトガイ神経知覚異常モデルを作製し,薬理学的に神経損傷部のオートファジーを活性化した結果、下歯槽神経支配領域の知覚鈍麻に有意な改善が認められることがわかった。また、血管内皮細胞は神経損傷の発生初期にオ ートファジーによってミエリンを分解・除去する役割を担うとされているが、血管内皮細胞の新生を阻害するvascular endothelial growth factor(VEGF)阻害薬の投与では現状、ミエリンの分解や除去、あるいは下歯槽神経損傷後の下歯槽神経支配領域の知覚異常に対して明らかな薬理作用が確認できておらず、今後も投与量や投与経路を変更し、解析を行う予定である。Q-spaceミエリンマップについては、解析に十分なMRIの解像度および撮影条件を現在、検討中である。MRI撮影に用いる実験動物についても、mTOR阻害剤やVEGF阻害剤の投与量などを調整しているほか、撮影時の麻酔方法や体動によるアーチファクトの減弱方法などを検討している。今後はmTOR阻害薬とVEGF阻害薬の同時投与や、投与量や投与経路を変更したVEGF阻害薬の投与が下歯槽神経損傷モデルラットにおける下歯槽神経支配領域の知覚異常に及ぼす影響についても、検討を行う予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
前述の通り、下歯槽神経の切断による下歯槽神経損傷モデルラットを用いて、損傷部位にmTOR阻害薬であるラパマイシンを投与するとオートファジーが促進され、ミエリンの分解・除去の効率的な除去が行われることを明らかとした。また、その結果、Vehicle投与群と比較して下歯槽神経損傷領域の知覚鈍麻がより早期に回復することも明らかとなった。一方でVEGF阻害薬の投与については、ミエリンの分解・除去および知覚異常の回復過程において明らかな薬理作用が確認されていない。また、各種薬剤の投与効果について、MRIを用いてQ-spaceミエリンマップを撮像し、客観的かつ定量的な評価を行う計画であったが、十分な解像度をもったMRI装置の確保と、撮影条件の設定に難航している。
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今後の研究の推進方策 |
損傷を受けた下歯槽神経の回復において、ミエリンの修復程度をQ-spaseミエリンマップで可視化するためには、現状の薬剤投与量では変化量が過小な可能性が考えられる。今後は、それらの変化をより鋭敏に感知可能な撮影条件を検討することと、mTOR阻害薬の投与量を変更することにより、ミエリンマップを用いた評価を行う。また、mTOR阻害薬とVEGF阻害薬を同時に投与することにより、シュワン細胞、あるいは血管内皮細胞のオートファジーが阻害されるかどうかや、その結果としてミエリンの除去・分解に与える影響についても検討する。また、mTOR阻害薬とVEGF阻害薬の同時投与や、投与量や投与経路を変更したVEGF阻害薬の投与が下歯槽神経損傷モデルラットにおける下歯槽神経支配領域の知覚異常に及ぼす影響についても、検討を行う予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
VEGF阻害薬の投与による実験において、明らかな薬理効果の差が認められていないこと、またMRIの撮影条件を検討中である。そのため、本年度に使用予定であった一部の試薬購入を見送り、次年度において使用することとした。
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