本研究では、造血幹細胞移植患者における口腔関連有害事象の発症状況の調査とそのリスク因子の探索に加え、造血幹細胞移植前に口腔内感染巣の根治的除去として施行される抜歯術の有効性を文献的考察を加えながら検証した。 本研究より、造血幹細胞移植後に継続的な口腔ケアを受けていない症例や造血幹細胞移植後の好中球数が低値 (<500/μL) である期間が長い症例では口腔内有害事象を生じやすく、後者ではさらに敗血症リスクも高くなる可能性が示唆された。 抜歯術に関しては、その必要性と時期について歯科医師と血液内科医の間で十分に議論した上で、積極的に実施されるべきであると考えられた。
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