研究課題/領域番号 |
20K18685
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研究機関 | 鹿児島大学 |
研究代表者 |
野元 菜美子 (木村菜美子) 鹿児島大学, 医歯学域鹿児島大学病院, 助教 (70829481)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 唇顎口蓋裂 / 三次元顔貌形態 / 三次元形態評価 |
研究実績の概要 |
唇顎口蓋裂は、口唇外鼻形態に特徴的な変形を伴う疾患であり、患者のQOLと密接に関係する問題である。唇裂治療の目的は対称的な口唇外鼻形態の回復と生理的機能の回復である。しかし、変形の度合いは個人で大きく異なり、術後の口唇外鼻形態や将来の形態変化について一概に予想することは困難である。本研究では、唇裂患者の口唇外鼻形態について、新規アルゴリズムを応用し出生時から唇裂手術前後など経時的な変化を三次元的に計測・評価することで治療効果を分析、フィードバックして効果的な治療方針の確立を目的とする。また、経時的顔貌の予測モデルを可視化することで、患者・家族の治療への不安低減および患者のQOL向上を目指す。 2021年度は初診時からNAM装着前、装着後の口唇形成術直前、口唇形成術後の唇裂患者の口唇外鼻形態の三次元画像取得および口唇外鼻形態の計測を行っている。対象となる唇裂患者の顔貌を、非接触型三次元撮影装置にて初診時から各時期に撮影し、撮影後、顔貌形態、特に口唇外鼻形態の三次元分析を行うために、取得した顔面画像から三次元画像を構築している。随時撮影データから三次元顔面画像構築を行い、専用ソフトを用いて三次元分析を行う。三次元分析は、三次元画像において解剖学的計測点を用いて、鼻尖点の位置、鼻翼の挙上程度、鼻翼角や鼻柱角計測を行う。また、これまで、鹿児島大学口腔顎顔面外科を受診した唇顎裂患者の初診時や、術前の口唇外鼻矯正治療後、唇裂術前後など経時顔貌の撮影が行われてきた。その蓄積された膨大なデータから三次元顔貌画像構築をすすめている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
令和3年6月から12月まで産休・育休期間があり、研究をすすめることが困難な時期があったため進捗状況に遅れがでている。
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今後の研究の推進方策 |
2022年度-2023年度は新規アルゴリズムを応用して口唇外鼻形態の経時的分析を行い、今後予想される口唇外鼻形態の予測モデルを構築する予定である。 口唇外鼻三次元形態について、出生時、NAMの装着期間や調整頻度、初回口唇形成術直前の計測結果、口蓋形成術時、矯正開始時など経時的三次元形態計測・評価を行い、NAM介入や口唇形成術の工夫、術後の後戻り等の分析を加えることで当科の一貫治療の効果を分析する。分析の際は、共同研究を行っている九州工業大学工学部画像処理研究室と連携し開発した新規アルゴリズムを用いた正中線設定方法を応用して、口唇外鼻形態の対称性について評価する。その結果から口唇外鼻形態の予測モデル構築を行い、術者や治療方針にフィードバックし、より効果的で適正な一貫治療の確立を目指す。また、予測モデルを三次元的に可視化することで、患者・家族へのプレゼンテーションに役立て、治療に臨む際の不安低減やQOL向上の一助とすることを目的とする。また、研究結果については随時学会等での発表や論文化し、広く情報共有を行い今後口唇裂・口蓋裂治療の発展に貢献したいと考えている。
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次年度使用額が生じた理由 |
本年はコロナ禍であり学会参加、学会発表を現地で行うことがなかったため、旅費が不要であったため繰り越し金があった。また、本年度は産休育休期間があったため、研究進行に遅れがあったため、新しい分析ソフト導入を行わなかったため次年度使用額が生じた。 次年度は新しい分析ソフト導入を検討しており、そのサブスクリプション費にあてる予定である。また、論文投稿費等や学会発表における旅費に使用予定である。
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