研究課題/領域番号 |
20K18693
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研究機関 | 神戸大学 |
研究代表者 |
筧 康正 神戸大学, 医学部附属病院, 特命講師 (70772896)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 金ナノ粒子 / アポトーシス / 放射線増感効果 / EGFR阻害薬 / ナノ粒子 / 口腔癌 / 分子標的薬 / 放射線増感剤 |
研究実績の概要 |
近年、放射線治療効果を高める方法の一つに放射線治療用増感剤として金ナノ粒子を始めとしたメタルナノ粒子が注目を浴びている。ナノ粒子を体内に入れる際、粒子径を100nm以下にすると体循環中へと肝臓の細網内皮系に捕捉されずに循環することが可能である。金ナノ粒子はサイズの調節が容易で粒子表面に化学物質を化学修飾しやすい、イメージングの応用もしやすい特徴がある。現在、口腔癌をはじめとした頭頸部癌領域ではシスプラチンなどの抗癌剤のみならず、抗EGFR抗体や抗PD-1などの分子標的治療薬も臨床応用されている。これらの分子標的薬を金ナノ粒子表面に化学修飾することで選択的に腫瘍細胞へと金ナノ粒子を遊走させることで腫瘍選択的に放射線増感作用が得られる可能性がある。 本年度は、金ナノ粒子とEGFR阻害薬が放射線による増感効果があることを示した。具体的には金ナノ粒子およびEGFR阻害薬がナノ粒子表面で結合していることをラマン分光による測定で確認した。またTEMによりEGFR阻害薬を加えても細胞内に金ナノ粒子が取り込まれることを確認した。また金ナノ粒子、EGFR阻害薬放射線照射の有無で細胞の移動活性、細胞数の変化、細胞増殖能、アポトーシスの変化を解析した。そこで金ナノ粒子が放射線増感効果だけでなく、EGFR阻害薬に対しても相乗効果を示した。以上の結果をGold Nanoparticles Enhance EGFR Inhibition and Irradiation Effects in Head and Neck Squamous Carcinoma CellsというタイトルでBiomed Research international(doi: 10.1155/2020/1281645.)という英文誌に投稿し掲載された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
in vivoでの検討中で、放射線・EGFR阻害薬の設定・ナノ粒子の設定の目星がつき論文化に向けて順調に進捗している。
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今後の研究の推進方策 |
他の分子標的薬での追加のin vitroの研究と並行してin vivoの実験も行っており3名の大学院生とともに研究を推進していく予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
コロナ禍の影響により動物実験室の制約が生じた影響で、次年度へ動物実験の費用の計上の繰り上げが必要になったから。
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