研究課題/領域番号 |
20K18694
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研究機関 | 岡山大学 |
研究代表者 |
吉岡 洋祐 岡山大学, 歯学部, 客員研究員 (00827933)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 骨質 / PTH / 顎骨治癒 / 酸化ストレス / 抗酸化ストレス |
研究実績の概要 |
骨粗鬆症治療薬に使用される骨吸収抑制剤の重大な副作用として顎骨壊死が挙げられるが、難治性かつ治療法が確立していない。副甲状腺ホルモン製剤の間歇投与が顎骨壊死に有効であることが報告されている。難治性疾患である顎骨壊死に薬物療法が奏効するようであれば、外科的治療と比較し非侵襲的であり、生活の質の維持、心理的負担の軽減も期待できるため、利便性、有益性に富んだ治療法となる可能性があり注目を集めている。しかし、現状では副甲状腺ホルモン製剤の使用を推奨するエビデンスは不十分であり、かつ、過去に申請者は副甲状腺ホルモン製剤の間歇投与により顎骨新生骨の微細構造を向上を認める一方、抗酸化ストレス物質の低下に伴い酸化・抗酸化バランスが崩れ、顎骨新生骨の骨質が劣化することを見出した。本研究の目的は難治性疾患である顎骨壊死に対して、薬物療法による治療を模索することにある。本年度は、副甲状腺ホルモン製剤の投与方法に着目し、下顎枝に貫通孔を作成したラットに対して副甲状腺ホルモン製剤を貫通孔に直接投与し、その後採取した下顎骨を用いて新生骨の解析を行った。副甲状腺ホルモン製剤の局所投与後の新生骨を組織学的に解析した.HE染色、抗RAGE抗体を用いた免疫染色を用いた組織学的解析においては、副甲状腺ホルモン製剤の局所投与による明らかな影響を認めなかった。副甲状腺ホルモン製剤の局所投与は酸化・抗酸化バランスを崩さず、顎骨治癒を促進させる可能性があり、今後、顎骨壊死の治療に副甲状腺ホルモン製剤の局所投与が応用可能かさらなる検討を予定している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
COVID-19の影響により、実験の施行が滞ったため。
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今後の研究の推進方策 |
COVID-19の影響により、予期していない事態で研究遂行の支障となる場合は、研究の一部を委託するなどの措置を行う。本研究は動物研究であり、2ヶ月近いラットの飼育期間を要するため、COVID-19の影響を受ける可能性から外部機関に検体採取まで委託することも選択肢として考慮し研究を再計画する。また、ラットから得られた検体を他大学、他学部の装置を用いて解析予定であったから、COVID-19の影響で施設の出入りも制限されることになれば検体の計測についても委託することを考慮して、研究を進める。
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次年度使用額が生じた理由 |
COVID-19の影響により、動物研究に遅延が生じたため次年度使用額が生じた。 使用計画としては、次年度予定している動物研究に必要な費用等に充当する。
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