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2020 年度 実施状況報告書

口腔癌におけるミトコンドリア動態が及ぼす抗癌剤耐性機構の解明と新規治療法の創出

研究課題

研究課題/領域番号 20K18699
研究機関熊本大学

研究代表者

川原 健太  熊本大学, 病院, 病院教員 (90732735)

研究期間 (年度) 2020-04-01 – 2023-03-31
キーワード口腔癌 / シスプラチン耐性 / ミトコンドリア / カルシウム / カルシウムキレーター
研究実績の概要

本研究の目的は、シスプラチンに治療抵抗性のある口腔癌に対して、シスプラチンの抗腫瘍効果におけるCa2+・ミトコンドリアの役割を解明するとともに、細胞死誘発Ca2+シグナルを特異的に増強させ、効果的なシスプラチンによる癌治療法の創出を目指すものである。
本年度(2020年度)は、シスプラチンに抵抗性のあるヒト口腔癌細胞株:HOC-313を用いて、Ca2+との関連性を調べることとした。もともと細胞外Ca2+除去剤:EGTAを用いた際に、シスプラチンとEGTA併用群の方が細胞増殖を抑制し、細胞死を増加させた結果が得られていたため、その他の薬剤を使用した。細胞内Ca2+除去剤:BAPTA-AM、ミトコンドリアCa2+ユニポーター阻害剤:ruthenium360、一過性受容器電位チャネル阻害剤:AMG9810を用いた結果、どの薬剤を併用しても明かな耐性度の獲得や細胞死増強効果は認めなかった。またruthenium360はストア依存性カルシウムチャネル(SOCE)も抑制するので、その関与も現時点では否定的となる結果であった。
次にシスプラチンと上記で使用した薬剤を併用した際の細胞内Ca2+濃度をCalcium kit-fluo-4を用いて測定したところ、いずれもシスプラチンを併用すると細胞内のCa2+が一過性に上昇することが判明した。その上昇率はEGTAを併用した群で大きく、AMG9810を併用した群で小さいことが判明した。これらより、現時点では細胞外Ca2+除去剤のEGTAのみがシスプラチン耐性株:HOC-313においてCa2+の変動による耐性機序に何らかの形で関わっている可能性が示唆された。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

本年度の研究結果においては、さまざまなカルシウムキレーターを用いたところ、予備実験で得られていたEGTAのみでシスプラチンと併用することによる感受性の増加を認め、またその際の細胞内のCa2+濃度の変化もとらえることができた。しかしながらこのCa2+の変化も薬剤添加後のある一定の時間のみ(24、48時間後)での測定のため、本来Ca2+濃度変化は秒単位の非常に速い反応でかつ一過性といわれているため、薬剤添加直後から経時的にモニターする必要があることが今後の課題点となっている。
現時点では、細胞1種類のみでの検討でとどまっているため、HOC-313のみではなく別のシスプラチン抵抗性ヒト口腔癌細胞株:TSUを用いて同じような挙動をするか確認する必要がある。

今後の研究の推進方策

進捗状況で述べたように現在1種類の細胞株のみでの検討となっているため、別のシスプラチン耐性株でも検討を行う。またシスプラチンに感受性のある細胞株:SAS、Ca9-22、HSC-3を用いてシスプラチンとCa2+キレーターを併用した際の細胞増殖や薬剤耐性度の変化、細胞内もしくはミトコンドリア内のCa2+の変化をとらえる予定である。その際にミトコンドリアの形態学的変化も観察する予定である。
また細胞内外へのCa2+の輸送に関わるCa2+チャネル(受動輸送)やCa2+ポンプ(能動輸送)についても、RT-PCRやrealtime-PCRによる発現測定、ウエスタンブロット法によるタンパク質解析を用いながら検討する。

次年度使用額が生じた理由

ほとんど誤差の範囲内と考えている。

  • 研究成果

    (1件)

すべて 2020

すべて 学会発表 (1件)

  • [学会発表] Mitochondrial calcium regulation contributes to CDDP resistance in oral cancer2020

    • 著者名/発表者名
      平山 真弓
    • 学会等名
      第79回 日本癌学会学術総会

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公開日: 2021-12-27  

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