研究課題
がん治療が日々に進化し、選択肢も多様化している反面、がんの予防法はほぼ皆無である。がん組織の中にごく少数存在するがん幹細胞は、自己複製能、多分化能、腫瘍形成能、更に化学療法、放射線療法に対する治療抵抗性を有することが明らかになっている。つまりがん幹細胞は、再発・転移・浸潤の根源であり、且つアプローチ方法が非常に限定される亜集団として、再発予防を考える際に最も優先的に排除すべき細胞と考えられる。 申請者らは世界で初めて、がん幹細胞「のみ」を標的とする治療法ががんの抑制に有効であり、かつ十分な条件であることを発表した。また、がんの発生前にがん幹細胞特異的なCTLが体内にあることによりその後の腫瘍形成が抑制される、つまりがん幹細胞を標的としたペプチドワクチンが再発予防に有効である点も発表している。候補ペプチド群について、手術検体を用いて解析を行なった。候補ペプチド群のうち3種において、コードする遺伝子が口腔癌組織に 遺伝子発現を認め、一方で同一患者の正常口腔粘膜組織においては遺伝子発現は認められなかった。このうち一つ、OR7C1遺伝子についてより詳細に解析を行った。RNAシーケンスデータベース解析を行ったところ、口腔がん組織において高い発現量を示した。そしてOR7C1遺伝子は正常組織に発現を認めなかった。口腔がん細胞をCD44マーカーにて分離したところ、がん幹細胞と非がん幹細胞の分離が可能であり、がん幹細胞集団においてOR7C1遺伝子が優位に発現していることを確認した。日本人に最も多いHLA-A24を標的とするため、in silicoにてHLA-A24に発現が予測されるOR7C1合成ペプチドを5配列作成した。これらの合成ペプチドを用いて末梢血PBMCを刺激した結果、特異的CTLの誘導が出来たものを1配列確認した。特異的CTLは口腔がん幹細胞を特異的に認識、傷害した。
3: やや遅れている
現在論文投稿段階であるが、投稿先より追加の実験を求められている
OR7C1遺伝子に関するより紹介な解析を行い、論文掲載を目指す。また他の遺伝子についても解析を進め、こちらも論文掲載できるよう進める。
論文投稿にあたり追加実験が必要になったため
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