口腔癌に対して行われる動注化学放射線療法(動注)は進行症例や高齢者にも高い治療効果を示す一方、治療抵抗性を示す症例や再発症例も存在する。従って動注施行前に治療反応性を判定する手法の開発が望まれている。本研究の目的は病理組織像や血液cell free RNAに注目し、治療効果判定と再発早期検出システムを構築することである。
扁平上皮癌と唾液腺癌に対して動注を行った症例の治療前後の病理組織像を比較検討した。扁平上皮癌では、治療前は角化が著明な高分化であった像が、動注後の再発時には中分化となっている症例が多かった。治療前と比較して癌細胞の核腫大が目立ち、治療前後で癌細胞の特性が変化していることが考えられた。唾液腺癌では、治療後は変性や壊死に陥っている癌細胞もみられたが、多くがviableであった。癌周辺は線維化や硝子化が目立っていた。また扁平上皮癌と比較して唾液腺癌は動注の奏功率が低いことが示唆された。扁平上皮癌と唾液腺癌の治療前後の標本を用いていくつかのタンパク質の発現を免疫染色で解析している。また、血液中のcell free RNAの検出法の検討を行っている。
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