研究課題/領域番号 |
20K18713
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研究機関 | 大阪医科薬科大学 |
研究代表者 |
越智 文子 大阪医科薬科大学, 医学部, 非常勤医師 (40846903)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 化学療法 / 口腔粘膜炎 / 口腔細菌叢 |
研究実績の概要 |
口腔細菌叢は,化学療法による重篤な局所的あるいは全身的な病状と関連している可能性がある。本研究は,造血器悪性腫瘍患者における化学療法開始後の口腔細菌叢の変化を評価し,口腔粘膜炎と関連する口腔細菌叢の特徴を特定することを目的とした。造血器悪性腫瘍(リンパ腫,白血病,骨髄腫)の患者57名から,化学療法開始前と,化学療法による口腔粘膜炎が生じる頻度が高い化学療法開始後8~20日の2時点で口腔サンプルを採取し,16S rRNAメタゲノム解析を実施した。菌叢の比較分析および線形判別分析効果量(LEfSe)分析の手法を用いて,化学療法開始前後および口腔粘膜炎を発症した人に特徴的な細菌群を見出した。化学療法開始前後の口腔細菌叢のαおよびβ多様性は有意に異なっていた(α多様性の指標,OTU指数:p < 0.001,Shannon 指数:p < 0.001,β多様性の指標,Unweighted UniFrac distance:p = 0.001,Weighted UniFrac distance:p = 0.001 )。LEfSe解析の結果,化学療法開始の前後で存在比率が大きく異なる細菌群を見出した.また,口腔粘膜炎を発症した患者群では,化学療法開始前に特徴的な細菌群を見出した。以上の結果から,造血器悪性腫瘍患者における化学療法開始に関連した口腔細菌叢を特徴づけ,化学療法開始前の口腔細菌叢の構成と口腔粘膜炎の関連を示すことができた。これらの結果をまとめ,論文発表した。本研究の結果は,造血器悪性腫瘍患者における化学療法開始前後の口腔細菌叢変化に着目した口腔管理の重要性を示唆するものである。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
新型コロナウイルスの感染拡大の影響により,口腔内サンプルの採取が予定よりも進んでいない。
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今後の研究の推進方策 |
引き続き口腔内サンプルの採取を継続し,サンプル数を増やす。
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次年度使用額が生じた理由 |
新型コロナウイルスの感染拡大の影響により,口腔内サンプルの採取が予定した件数を下回ったため,次年度使用が生じた。 次年度は,口腔サンプル解析に必要な試薬および消耗品の購入および,解析委託費用に使用する予定である。
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