研究実績の概要 |
口腔癌におけるCSCsの存在と抗PD-1抗体製剤の治療効果との関連を予測する目的で、久留米大学歯科口腔医療センターにて、抗PD-1抗体製剤投与予定または投与後の患者から、口腔癌の病理組織検体を採取(切除ないし生検)採取している。対象は進行口腔癌症例(UICC 分類Stage IIIないしIV)で、年齢は50歳以上90歳未満、計100例程度を抽出済みである。続いて、採取した検体を用いた免疫組織化学染色を施行予定である。2020年度は免疫染色の条件付けが終了し、今後、採取した組織片(舌、上下顎歯肉、頬粘膜、口蓋、口腔底)の浸潤先進部にて、未染色切片を作成し、疫組織化学染色を施行予定である。抗体として、CD44v3 (VFF-327v3, 1:50 dilution; Novocastra), CD24(52880 7, 1:100 dilution; R&D Systems), PD-1(005018, 1:100 dilution; ORIGENE)およびそのリガンドであるPD-L1(205921, 1:100 dilution; Abca m)を使用予定である。免疫組織化学染色の結果から、抽出した口腔癌症例をCSCsを含む症例と含まない症例とに分類する。申請者の過去の業績からCD44v3陽性CD24陰性症例はCSCsを多く含んでいるものと考えられる。申請者の過去の業績からCD44v3陽性CD24陰性症例はCSCsを多く含んでいるものと考えられ、腫瘍先進部におけ るPD-L1の発現上昇ならびに腫瘍周囲の間質におけるリンパ球のPD-1の発現上昇が予想され、抗PD-1抗体製剤に対する治療標的として、CSCsが 有用であることが証明されるものと期待される。上記のごとく、対象症例の抽出と免疫染色の条件付けが終了しており、今後抽出した全症例での免疫染色および解析を進めていく予定である。
|