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2021 年度 実施状況報告書

IGFBPsによる骨微小環境調節機構の解明と新規骨吸収性疾患治療への応用

研究課題

研究課題/領域番号 20K18716
研究機関弘前大学

研究代表者

伊藤 良平  弘前大学, 医学部附属病院, 講師 (20638902)

研究期間 (年度) 2020-04-01 – 2024-03-31
キーワード骨代謝 / 骨形成 / 骨微小環境 / IGFBP
研究実績の概要

骨代謝が骨形成と骨吸収のどちらに進むかを決定するのは、骨微小環境の変化であると仮説を立て、研究を進めた。その過程で骨形成シグナルとして重要なインスリン様成長因子(Insulin-like Growth Factor, IGF)に結合する蛋白であるIGFBPsが骨代謝制御に深く関わることが示唆された。IGFBPsは、IGFBP1~6のサブタイプがあり、機能が未解明だが、1~6のサブタイプがそれぞれIGFとは独立して骨代謝制御に深く関わると考えられた。申請計画に従い、骨芽細胞と線維芽細胞を共培養し、骨代謝関連遺伝子の発現を解析したところ、骨代謝マーカー(ALP)の上昇の初期でIGFBP1,2,4が上昇し、ALP上昇の終盤にIGFBP3,5,6が上昇することが判明した。このことは、骨形成開始のシグナルとしてIGFBP1,2,4が機能し、骨形成成熟のプロセスでIGFBP3,5,6が機能している可能性を示唆している。IGFBPsは分泌型タンパクをコードする遺伝子であり、骨芽細胞と線維芽細胞の相互ネットワークにも関与して いることが示唆された。以上のことから骨微小環境における骨代謝制御にIGFBPはやはり関与する証拠となる知見が得られた。さらに、骨形成にブレーキをかけ 骨吸収に移行させる機能をもつIGFBPサブグループも存在すると仮定して解析を進めている。この実験結果をもとに、IGFBPsのそれぞれの骨微小環境における機能をさらに解析を進めていたが、骨微小環境の再現の過程で、共培養による解析では生体の骨環境が十分に再現できていない可能性が出てきている。そこで、空間的遺伝子発現解析などの新たな手法を取り入れ、より生体に近い状態の骨微小環境を再現し解析を進めていくことを試みている。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

骨微小環境を再現した状態での骨芽細胞などの遺伝子発現を解析しているが、より生体の骨代謝環境に近づけるための技術的な工夫が必要となっている。

今後の研究の推進方策

空間的遺伝子発現解析やシングルセル解析などの手法を新たに取り入れ、骨微小環境における遺伝子発現解析を行っていく予定である。

次年度使用額が生じた理由

当該年度は既存の実験設備、試薬、細胞株で研究遂行が可能であったため、当初の予定より使用金額が少なかった。次年度には遺伝子解析をシングルセル解析や空間解析などの新たな手法も含めて施行する予定である。

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公開日: 2022-12-28  

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