研究課題/領域番号 |
20K18720
|
研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
山口 聡 名古屋大学, 医学部附属病院, 助教 (70778670)
|
研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
|
キーワード | 歯髄幹細胞 / 半導体レーザー / 組織再生 |
研究実績の概要 |
歯髄幹細胞由来因子が皮弁の生着に与える効果について、動物モデルおよび培養細胞系で検証した。マウスの背部に皮弁を挙上し栄養動脈をクランプ・解除することで虚血再灌流モデルを作製した。歯髄幹細胞培養上清を経静脈的に投与し、皮弁の壊死領域を評価した。コントロール群と比較し歯髄幹細胞培養上清投与群では壊死領域が有意に縮小し、組織学的には細胞のアポトーシスが減少していることが明らかになった。また再灌流後の皮弁の血流をレーザースペックルイメージングで比較すると歯髄幹細胞培養上清投与群では皮弁の血流が有意に多いことが明らかとなった。ヒト皮膚ケラチノサイトを使用した培養細胞系では、低酸素培養により細胞のアポトーシスを誘導し、歯髄幹細胞培養上清投与の効果を検討した。コントロール群と比較して歯髄幹細胞培養上清投与群ではアポトーシスが有意に減少した。また、歯髄幹細胞培養上清はヒト皮膚ケラチノサイトの増殖を促進した。以上の結果より、歯髄幹細胞由来因子が皮弁の生着をより早期に確実に達成する効果を持つことが期待できると考えられた。次年度は血管新生、炎症性サイトカイン発現を評価し、治療のメカニズムを検証するとともに、半導体レーザー照射の効果についての検討を加えていく。歯髄幹細胞培養上清中の効果因子の同定を目指していく。本研究により歯髄幹細胞の効果が明らかとなれば、皮弁生着を改善させるという目的に使用できるだけでなく、組織の再生・修復過程にあるあらゆる病態において応用でき、さまざまな創傷治癒、再生医療 における普遍的な治療法を提供できる可能性がある。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
歯髄幹細胞由来因子が皮弁の生着に与える効果について、動物モデルおよび培養細胞系で検証した。マウスの背部に皮弁を挙上し栄養動脈をクランプ・解除することで虚血再灌流モデルを作製した。歯髄幹細胞培養上清を経静脈的に投与し、皮弁の壊死領域を評価した。コントロール群と比較し歯髄幹細胞培養上清投与群では壊死領域が有意に縮小し、組織学的には細胞のアポトーシスが減少していることが明らかになった。また再灌流後の皮弁の血流をレーザースペックルイメージングで比較すると歯髄幹細胞培養上清投与群では皮弁の血流が有意に多いことが明らかとなった。ヒト皮膚ケラチノサイトを使用した培養細胞系では、低酸素培養により細胞のアポトーシスを誘導し、歯髄幹細胞培養上清投与の効果を検討した。コントロール群と比較して歯髄幹細胞培養上清投与群ではアポトーシスが有意に減少した。また、歯髄幹細胞培養上清はヒト皮膚ケラチノサイトの増殖を促進した。
|
今後の研究の推進方策 |
マウス背部皮弁虚血再灌流モデルおよびヒト皮膚ケラチノサイト培養系で歯髄幹細胞由来因子が血管新生、炎症性サイトカイン発現に与える影響を評価し、治療のメカニズムを検証する。また、半導体レーザー照射の効果についての検討を加えていく。歯髄幹細胞培養上清中の効果因子の同定を目指していく。
|
次年度使用額が生じた理由 |
新型コロナウイルス感染症の拡大により、参加予定であった学会の開催形式が変更となり旅費が不要になった。また実験動物の搬入や施設への入館制限により、飼育数を一時的に減少させたため。ただし、研究の進捗状況に遅れは生じていない。次年度はマウス背部皮弁虚血再灌流モデルおよびヒト皮膚ケラチノサイト培養系で歯髄幹細胞由来因子が血管新生、炎症性サイトカイン発現に与える影響を評価し、治療のメカニズムを検証する。経費は予定のとおり動物実験・試料・飼育費、生化学・分子生物学実験試薬、細胞培養器具・試薬に使用する見込みである。
|