研究実績の概要 |
本研究では、口腔癌や白板症、扁平苔癬などのOPMDsについて、治療選択や予後予測となりうるバイオマーカーの特定を目的とする。バイオマーカーの特定により病理組織学的な指標を定めることが可能となり、これら患者の治療効果、生存率の向上、さらには個別化治療を目指す。 実際には患者の組織生検、切除検体のパラフィン切片を用いて、腫瘍微小環境を反映した免疫細胞/分子プロファイリングパネルでの多重免疫染色を行う。各マーカーごとに画像をスキャナーに取り込み、全染色が終了後にソフトウェアを用いて画像の重ね合わせを行い、その局在を可視化する。次に解析ソフトを用いて定量を行い、組織画像や定量結果を臨床情報と照らし合わせて解析することで特異的なバイオマーカーの特定を行う。 2020年度は、大腸癌の組織切片を用いて核染色(ヘマトキシリン), CD45, CD3, CD8, CD20, CD68の多重免疫染色を行い、実際に本研究室にて多重免疫染色が可能かどうかの確認を行った。いくつかの試薬は日本での購入が困難であり、オリジナルのプロトコールと変更せざるを得なかったが、代用品を用いても多重免疫染色の再現は可能であることを確認した。次に、免疫染色のスキャンデータから細胞数などの定量解析を行うため、ImageJ, FIJI, Cell Profiler, FCS Expressなどのソフトウェアの構築を行い、一定の精度の保った定量解析が可能であることを確認した。
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