現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
2020年度の計画は、① 光学機器による各口腔粘膜疾患の画像解析・データ集積、② 評価法による鑑別能の最適化、が主目的であった。 まず、口腔がん検診について検討した。当科では歯科医師会や医師会、行政と連携し、検診を行ってきた。集団検診の総受診者は19721名で、要精密検査率は4.45%、がん発見率は0.13%、口腔潜在的悪性疾患(OPMDs)発見率は1.85%であった。個別検診の総受診者は29912名で、要精密検査率は2.33%、がん発見率は0.08%、OPMDs発見率は2.15%であった。検診を比較すると、個別検診では男性の受診が高くなり、より多くのOPMDsの発見につながったと考えられた(Morikawa et al. Countermeasure and opportunistic screening systems for oral cancer. Oral Oncol,112,105047, 2021.)。コロナ禍で、より個別検診の重要性が高まっていると考える。 ① 画像解析・データ集積については、502例で中間解析を行った。口腔がんとOPMDs、口内炎などの他疾患の鑑別において、健常部では差は認めず、病変部について、視覚的評価・画像解析の結果から得られた他覚的評価において、統計学的差異を認めた。現在もデータ集積を継続している。② 評価法による鑑別能の最適化については、ROC解析を用いて閾値を設定し、感度・特異度を算出した。視覚的評価では感度96.8%、特異度48.4%であった。画像解析の結果、他覚的評価では、感度85.1%、特異度は75.8%と向上を認めた。さらに項目の組み合わせにより、感度は86.6%、特異度は84.6%まで向上した(Morikawa et al. Cancers,12,2771,2020.)。 2020年度の計画通りに経過しており、順調である。
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