研究課題
口腔がんは希少がんとされている。しかしながら、口腔がんは急増しており、さらにその予後は不良である。その理由は進行がんが多いためであり、口腔がんの早期発見・早期治療は急務である。口腔がんの早期発見が困難な理由として、多彩な粘膜疾患が発症するため、その鑑別が困難であることが挙げられる。光学機器を用いた蛍光観察は、簡便で非侵襲的で繰り返し施行でき、リアルタイムで結果のわかる検査法である。従来の視診・触診に加え、非侵襲的なこの蛍光観察法を合わせることで、精度の向上を検証してきた。蛍光観察は、これまでの評価として視覚的であるため、環境や評価者により、大きく精度が異なることが問題であった。そこで、我々は画像解析を行い、半定量化を検討してきた。画像解析と人工知能(AI)の合性はよく、医療分野でも発展している。胃がんにおいては、AIが応用され、近い将来、AIによるスクリーニングが導入される。本研究では、この光学機器の画像解析とAIを用いて、口腔がんのスクリーニングシステムの構築を目的とした。本研究により、口腔がんや口腔潜在的悪性疾患(OPMDs、いわゆる前がん)の早期発見につながり、予後の改善や、口腔・全身の健康増進につながると考えられる。2021年度は、蛍光画像のデータ集積・画像解析、および評価法による鑑別能の最適化のためのアルゴリズムを作成した。その結果、平均精度90%弱との結果を得て、学会発表(日本口腔外科学会総会)を行い、論文投稿を行っている。さらなる症例集積を行うとともに、工学部研究チームとの合同でのAI作成を行っている。
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すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (4件) (うち招待講演 2件) 図書 (1件) 備考 (2件)
歯科学報
巻: 121 ページ: 385,393
https://researchmap.jp/morikawatakamichi
https://jglobal.jst.go.jp/detail?JGLOBAL_ID=202001007662635880