研究課題/領域番号 |
20K18750
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研究機関 | 東京医科歯科大学 |
研究代表者 |
大石 修史 東京医科歯科大学, 大学院医歯学総合研究科, 非常勤講師 (50822532)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 矯正歯科 / 歯根吸収 / 上顎洞 / CBCT / 骨再生医療 |
研究実績の概要 |
本研究計画は、2018 および2019 年度科学研究費助成事業研究活動スタート支援(18H06273 および19K21364)に採択された研究内容を基に、より内容を発展させた継続研究となっている。 現在までに【基礎】研究で使用する歯の移動(OTM)モデルおよび炎症性疾患モデルを確立し論文として報告している。 本研究では、OTMモデルおよび炎症性疾患モデルを使用し、矯正力による歯の移動に伴う硬組織周囲組織の形態学的・組織学的評価を比較検討する予定である。また、上述したモデルを参考に便宜抜歯モデルを作製し、抜歯に伴う炎症コントロールについての研究を新たに開始した。これらのモデルを使用し得られる結果をから、解剖学的制限がある状態における歯の安全な移動の可否についてだけでなく、上顎洞炎や抜歯後の炎症に対しても安全な矯正歯科治療を行えるか明らかにする。 【臨床】研究においては矯正歯科治療前の被験者のCBCT データをもとに、歯根と上顎洞との関係を解析し論文として報告した。平行して、矯正歯科治療終了時のデータの蓄積も進み、本研究では【臨床】における治療終了時のCBCTデータの解析を開始する。矯正歯科治療前後のデータを評価することにより、矯正歯科治療に伴う医原性歯根吸収の現状を明らかにし、警鐘を鳴らすことができると考えられる。また、【臨床】研究では上顎洞に炎症性疾患を伴う患者データを収集・解析することにより、炎症性疾患が与える影響について調査する。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
臨床分野においては、CBCTデータの蓄積および解析を継続しており、データベースの構築が進んでいる。当初対象としていた上顎洞だけではなく、他の解剖学的特徴についても考察を行い、矯正治療に関する新たな研究分野を模索している。 基礎分野においては、OTMモデルを応用し、抜歯に伴う骨廃用性萎縮を再現したモデルの作製を行った。現在は、炎症性マーカーの計測、組織切片の作製等を行い解析を進めている。
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今後の研究の推進方策 |
臨床研究に関しては、CBCTデータの蓄積および解析を継続する。構築したデータベースを使用し、臨床に直結した新たな研究分野への応用を行っていく。 基礎研究に関しては、便宜抜歯を再現した炎症モデルを使用し、研究内容を纏め、学会発表および論文の形で発表を行っていく。 将来的に、本研究では【基礎研究】および【臨床研究】の両分野から相互にフィードバックを行うことができるため、見過ごされている現状の問題点を明らかにし、より安全な矯正歯科治療法の確立を目指す。
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次年度使用額が生じた理由 |
2020年4月以降、コロナによる緊急事態宣言等により研究計画に遅れが出たため次年度使用額が生じた。本年度の使用計画としては、遅れが生じた分の研究を当初の予定通り行い、消耗品等の購入費用として使用予定である。
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