研究課題/領域番号 |
20K18765
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研究機関 | 長崎大学 |
研究代表者 |
近藤 崇伸 長崎大学, 医歯薬学総合研究科(歯学系), 客員研究員 (20814106)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 矯正力による歯の移動 / 有限要素法 / 人工知能 / 骨改造 |
研究実績の概要 |
本研究の最終的な目標は、骨改造を考慮した歯の移動予測が可能なシミュレーションモデルを確立し、ヒトにおける長期的な歯の移動を予測する事であるが、これを実現するため、動物実験のデータを得ること、すなわちラットにおける3次元的な歯の移動動態を詳細に明らかにし、応力や骨密度と骨改造速度の関連を解明する必要がある。そこで、10 週齢ウィスター系ラットの第一臼歯に近心移動用コイルスプリングを装着し、実験的歯の移動を行った。牽引力は5gfおよび10gfとし、移動期間は7, 14, 21, 28日と、移動様式としては、傾斜移動と歯体移動を行った。次に、移動前後のマイクロCT画像を、3次元画像造形編集ソフトウェア(Mimics、Materialize社)を用いて3次元サーフェスデータへと変換した。移動前後のサーフェスデータをIterative Closest Point(ICP)アルゴリズムを使用して重ね合わせ、第一臼歯の3次元的な移動量(回転量・並進量)を算出した。マイクロCTデータのボクセル値から骨密度、ならびに作成した3次元有限要素モデルを対象に、矯正力負荷時の応力値を求め、長期的な歯の移動シミュレーションを行う際の骨改造のパラメータの最適化を行った。有限要素モデルに応力や骨密度が骨改造速度に与える影響を組み込み、計算からフィードバックを繰り返し、シミュレーションの精度の向上をはかった後に、生体データとの近似性を確認した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
マウスを用いた実験的歯の移動実験において、傾斜移動と歯体移動を行い、小動物用in vivoマイクロCTを用いて、歯の移動量を計測する必要がある。移動前と移動後の撮影を行った後に、3次元構築画像の重ね合わせにより、歯の移動動態を評価するものであるが、小動物用in vivoマイクロCTに不具合が生じ、実験的歯の移動実験を行えない事態に遭遇したため、研究の進行に遅延が生じた。
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今後の研究の推進方策 |
精度の高い長期的な歯の移動シミュレーションを行うためには、骨改造のパラメータの最適化を行う必要がある。有限要素モデルに応力や骨密度が骨改造速度に与える影響を組み込み、計算からフィードバックを繰り返し、シミュレーションの精度の向上をはかったものの、生体データとの近似性を確認しすることができなかった。実験的な歯の移動を行う際の荷重条件の標準化を向上させることで、実験精度を上げていく予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
マウスを用いた実験的歯の移動実験において、小動物用in vivoマイクロCTを用いて、移動前と移動後の撮影を行った後に、3次元構築画像の重ね合わせより、歯の移動動態を評価する必要があるが、小動物用in vivoマイクロCTに不具合が生じるなどしたために、動物実験に必要な経費の執行が行えず、次年度使用額が生じた。 今後の使用計画については、研究の遅れを挽回すべく、動物実験に必要な物品、その他を購入する予定である。
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