10 週齢ウィスター系雌のラット 1 匹を使用し、実験的歯の移動を行った。固定源としてラット上顎前方部に歯科矯正用アンカースクリューを埋入し、10g の NiTi スプリングを用いて第一臼歯の近心傾斜移動を行った。また、アンカースクリューと第二・第三臼歯はワイヤーで連結、固定した。移動期間は28 日間とし、移動前と移動後にmicro CT を撮影した。同時に、ラットをモデルとした有限要素モデルを構築し、ラットの実験的歯の 移動に相当する 10 g f の矯正力を加えて解析を行い、歯根膜外側面上の各節点(5361点)の応力値ならびに変位量を出力した。解析した歯根膜における静水圧応力値と骨リモデリング量との関係を調べた結果、歯根膜応力の中で、骨添加量と最も強い相関関係であったものは、最大主応力値であった。また、歯根膜に対する最大主応力が増加すると骨添加が増加することが確認された。以上より、歯根膜応力値と骨リモデリング量の関係を正確に評価するためには、近心根歯根尖周囲節点の応力値と骨リモデリング値の再評価と有限用要素解析するラットのサンプル数を増やすことが必要と考えられた。
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