疾患の病態解明のために,その疾患特有の遺伝子に欠損もしくは変異が生じている遺伝性疾患を利用する手法が用いられており,近年,Down症候群(DS)由来細胞を用いたAlzheimer病の病態解明が大きな成果をあげている。本研究では,健常者と比べDS由来歯肉線維芽細胞で炎症を負に制御するPDLIM2の発現が恒常的に低かった。つまり,DSは炎症抑制遺伝子の欠損ないし変異が生じていると言える。本研究に使用した臨床サンプルは小児DS由来のため,経過を追うことで将来的な歯周病発症の有無を確認し,DSにおける免疫応答性の個体差を明らかにできれば,健常者における歯周病の病態解明にも応用できるものと考えられる。
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