研究課題
Foxc1の異常に起因するAxenfeld-Rieger症候群では、歯の先天欠如や形態異常が認められる。そのため、Foxc1が歯の発生に重要であると推察されるが、その機能は不明である。代表者の予備実験から、歯胚の間葉細胞において高いFoxc1の発現が示された。代表者は、過去にFoxc1がGli2と物理的に結合し、内軟骨性骨化を制御することを報告した。Gli2は、歯の発生に関わることが知られている。これらの知見から代表者は、歯性間葉細胞で発現するFoxc1がGli2と相互関係を持ち、正常な歯の発生に寄与すると仮説を立てた。一方、代表者が所属するグループは、マウスiPS細胞由来歯性間葉細胞の樹立に成功したが、この細胞を用いた歯胚発生には至っていない。そこで、本研究の目的は、歯の発生過程における歯性間葉細胞でのFoxc1の機能と分子メカニズムを解明し、得られる知見に基づいて、Foxc1をiPS細胞から歯胚発生能をもつ歯性間葉細胞の樹立に応用することである。本研究により、歯の発生の新規制御機構の解明と、歯の再生に必要なiPS細胞由来の細胞シーズの獲得実現が期待される。本年度は、マウスの歯胚発生におけるFoxc1の発現時期・部位の解析を行った。歯胚発生の開始期、蕾状期、帽状期、および鐘状期に相当する胎生12.5、13.5、14.5、および16.5日齢野生型マウスの臼歯歯胚組織を採取し、組織切片を作製し、免疫組織化学染色にてFoxc1の発現解析を行った。さらに、マウス歯胚の間葉細胞におけるFoxc1の機能解析を行った。
3: やや遅れている
当初の予定よりもFoxc1遺伝子変異マウスの準備が遅れているため。
Foxc1遺伝子変異マウスの準備を進めるとともに、引き続きマウス歯胚の間葉細胞におけるFoxc1の機能解析を行う。
Foxc1遺伝子変異マウスの準備を次年度に行うことにしたため、次年度使用が生じた。令和3年度にマウスの準備を進めていく計画である。
すべて 2021 2020
すべて 雑誌論文 (4件) (うち査読あり 4件、 オープンアクセス 4件)
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