組織切片においては、1-3日のいずれの待機期間においても、歯根膜周囲の骨表面は粗造で、TRAP陽性細胞が圧迫側及び牽引側の歯根膜に沿ってびまん性に認められた。またALP陽性細胞は明確には認められなかった。FEAにおいては遠心根周辺を抵抗中心とした近心傾斜移動が生じ動物実験結果と齟齬はなかった。統合解析においては組織切片に対応した応力分布のコンター図の抽出は一定以上の精度で行えたが、歯根膜形状の差異が認められた。以上より、歯の初期移動においては、TRAP/ALP陽性細胞は荷重の圧迫側・牽引側に分類されない発現様相を呈し、応力値とは1:1関係ではない複雑な対応パターンを呈する可能性が示唆された。
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