本研究では、ヒト口腔内における齲蝕の存在とピロリ菌の口腔への定着との関連を検討するとともに、齲蝕原性細菌であるミュータンスレンサ球菌により形成されるバイオフィルムとピロリ菌定着との関係を検討した。その結果、未処置齲蝕歯を有する被験者において、未処置齲蝕を有しない被験者と比較して有意に高いピロリ菌検出率を認めた。また、歯面上に形成されるミュータンスレンサ球菌を含むバイオフィルムは口腔内へのピロリ菌定着のリスク因子となることが示唆された。以上の結果から、齲蝕およびミュータンスレンサ球菌の存在はピロリ菌の口腔内への定着に関与する可能性が示唆された。
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