研究課題
前年度の研究にてラット下顎頭高負荷モデルの顎関節においてオートファジーが抑制されている可能性が示唆された。本年度は新たなTMJ-OAモデルを作製し検討を重ねた。関節円板を前方に転位させ、生体のTMJ-OAを模したモデルを作製し、オートファジーとの関連を検討した。顎関節部を明示し絹糸を用いて頬骨弓と関節円板を結紮することで前方転位を図る。新モデルは旧モデルと違い、生体と同様、長期間段階を経て変形が起きる特徴を有する。2、4、8、12週間にてマイクロCTによる画像解析を行いながら飼育した後、灌流固定を行い、組織切片を作成した。 ヘマトキシリンエオジン(HE)染色、サフラニンO染色を行った。さらにLC-3、m-TOR、ULK1、ATG9、ATG14、Beclin1およびRubiconについて免疫組織化学染色を行った。弱い牽引力で転位させた群では転位2週間後に萎縮が観察された。一方、強い牽引力の場合、転位1週間後に萎縮が、転位週間後に生体と同様に下顎頭前方部で骨棘が観察され骨のリモデリングが生じていると推察された。HE染色においてTMJ‐OA群では正常な軟骨の層状構造が崩れており、線維細胞層での細胞数減少および増殖層における軟骨細胞の形態異常が認められた。また、サフラニンO染色軟骨基質の染色性の低下が認められた。免疫組織染色では同モデルにおいても変形の進行とともに、オートファジーが抑制される結果となった。以上の結果を本年度の顎関節学会にて発表予定である。
すべて 2021
すべて 雑誌論文 (1件) 学会発表 (3件)
Inflammation
巻: 44 ページ: 1108~1118
10.1007/s10753-020-01406-7