研究課題/領域番号 |
20K18786
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
宮崎 佳奈子 九州大学, 大学病院, 助教 (30778840)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 歯原性上皮細胞 / 多層化 / 極性化 |
研究実績の概要 |
器官形成は、細胞が外側に多層化し、分化した細胞が協調することで、分泌や吸収、バリア形成など目的の機能を果たすようになる。分化の過程で、球状の幹細胞が非対称に分裂し、核が偏在しながら細胞の形が機能に則した立方体や杯状、円柱状など大きく形態変化させて、極性化が生じるが、そのメカニズムの詳細は不明である。本メカニズムを解明することは器官再生に大きく寄与できると考えられる。これまでの研究で、歯をモデルとした頂底極性決定機構の解明を目的として研究を行い、極性決定に重要と思われる候補遺伝子の同定に成功した。本研究では、申請者が樹立した歯原性上皮細胞株を用いることで、歯原性上皮細胞の多層化をin vitroで再現し、候補遺伝子による極性化決定メカニズムの同定を図ることを目的としている。令和2年度は遺伝子改変技術(CRISPR/Cas9)を用いて、候補遺伝子のノックイン細胞株および遺伝子欠損細胞株の作成に成功した。同細胞を用いて、候補遺伝子がもたらすアクチンフィラメントを介した多層化の影響を検討したところ、共焦点レーザー顕微鏡を用いた三次元解析において、多層化が生じる条件を同定することができた。また、候補遺伝子は核内において転写調節因子として働く可能性が示唆されているため、Chip-seq法を用いて標的遺伝子のプロモーター領域を網羅的に解析をする予定である。本解析における予備実験をすでに終えており、来年度に本実験に移行する予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
令和2年度は主にPKP1が転写調節因子として働く際の標的遺伝子の同定および頂底極性メカニズムの解明を行う予定としており、遺伝子改変技術(CRISPR/Cas9)を用いて、候補遺伝子のノックイン細胞株および遺伝子欠損細胞株の作成に成功した。同細胞を用いて、候補遺伝子がもたらすアクチンフィラメントを介した多層化の影響を検討したところ、共焦点レーザー顕微鏡を用いた三次元解析において、多層化が生じる条件を同定することができた。また、候補遺伝子は核内において転写調節因子として働く可能性が示唆されているため、Chip-seq法を用いて標的遺伝子のプロモーター領域を網羅的に解析をする予定であり、予備実験はすでに終えているため、概ね順調な進捗状況である。
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今後の研究の推進方策 |
令和3年度は前年度に得た知見を元にエナメル芽細胞分化機構の解明へ移行する。予備実験を終えているChip-seq法による網羅的解析を行い、標的遺伝子の同定を行う。また、共焦点レーザー顕微鏡を用いた三次元解析において、多層化が生じる瞬間を動画で捉える予定としている。
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次年度使用額が生じた理由 |
covid-19影響下のため、学会開催中止となり旅費の執行が不可能であった。当該助成金は、翌年度における機能解析の消耗品として使用する予定である。
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