本研究の目的は、間葉系幹細胞と骨形成誘導活性を持つBMP-2を組み合わせたバイオインクにより作製したスキャフォールドが、スキャフォールドとしての役割を果たす機械的特性を有しているか、細胞がスキャフォールド内で生存および増殖するポテンシャルを具備しているか、また、生体に応用するのに十分な親和性を有しているかを明らかにすることであった。 本年度は、スキャフォールド印刷して、実験動物内に留置するのに適した形状を模索した。3Dモデリングプログラムを用いて直径5.0mm、厚さ1.0mmのディスク状のSTLファイルを作製した。そのSTLデータファイルを印刷経路情報を含むG-codeファイルに変換し、3DバイオプリンターINKREDIBLEにて印刷を行った。ラットの大腿骨と頭蓋骨に歯科用ラウンドバーなどを用いて規格化した穴を開け、そこに事前に3Dバイオプリンターを用いて印刷しておいたスキャフォールドを埋入して縫合した。4週間の観察期間のちに摘出し、マイクロX線CTによる観察を行った(n=3)。スキャフォールドの為害性を確認するため、バーなどで穴を開けるがスキャフォールドを埋入しない群も用意し、これをコントロール群とした。 マイクロX線CTにて撮像したコントロール群と実験群との比較を行ったところ有意差は認められず、当初の懸念事項であった手技自体にも、為害性はないと判断した。 なお、時間的制約のため達成はできなかったが、今回用いたバイオインクは基質となるGelMA単独のものであり、今後はここに細胞や成長因子などを添加していく予定であった。
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