研究課題/領域番号 |
20K18796
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研究機関 | 福岡歯科大学 |
研究代表者 |
柏村 晴子 福岡歯科大学, 口腔歯学部, 講師 (20425268)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | EPG / 舌突出癖 / 構音獲得時期 |
研究実績の概要 |
平成30年度の診療報酬改定において、小児期における口腔機能育成の重要性が認められ、「口腔機能発達不全症」という診断名が新規に登場した。口腔機能の中でも舌の機能については、客観的な指標を用いた診断基準や機能訓練法、評価方法については未だ明確な基準が定まっていないのが現状である。 言語療法で用いられているElectropalatography(EPG)システムは、電極を配置した口蓋プレートを利用して口蓋に接触する舌の位置を外部に表出できる舌位評価装置である。過去の測定により、EPGシステムは構音だけでなく嚥下時の舌の動きの異常をとらえることができ、口腔機能発達不全の診断と治療に効果的であることが示唆された。この装置での測定を行っていくにあたり、小児において以前と比較し発音の獲得率の遅れが予測された。 一般的に構音の発達には順序があり、母音の完成が約 3 歳、子音の完成が 5 ~7 歳とされ、3歳6か月では、「k」「g」を正しく発音できる小児は90%以上でこれらの構音が獲得されるといわれている。しかし、これらの音に誤りのある小児の割合は年々増加しており、その要因として、口呼吸、異常嚥下癖をはじめとする口腔習癖の増加が関与している可能性が示唆されている。 そこでEPGでの測定を行うにあたり、発音させる言語を見直すことにした。当病院に受診されている3~12歳の患児を対象にこちらが指定した絵カードの単語を発音してもらい、その構音の正誤を判定し、①年齢別構音獲得率、②歯科医師による構音異常の判定が行いやすい単語の選定を行うことを目的としてまず調査を行うこととした。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
発語を調査するにあたり、倫理審査申請などに時間を要した。しかし現在は、準備が整った状態であるため、今後は症例数を収集していく予定である。
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今後の研究の推進方策 |
近年、咀嚼や嚥下がうまくできない、口呼吸などが認められる小児を「口腔機能発達不全症」と診断し、その治療が保険診療として収載された。診断のためには、判定項目をチェックしていく必要があるが、判定項目の1つである「構音の異常」については、明確な判断基準が示されておらず、曖昧なままとなっている現実がある。本研究の成果は、「口腔機能発達不全症」の診断基準に対し、客観的エビデンスを示せるものと考えられる。
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次年度使用額が生じた理由 |
コロナウイルス感染症の影響により、旅費や人件費を支出することができなかった。また、緊急事態宣言により患者をみることができない時期があったため、当該助成金が生じた。最近は診療自体は落ち着いてきているため、翌年度分とあわせて助成金を請求させて頂いた。
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