本研究は睡眠時ブラキシズムを有する者は睡眠の質が低いという先行研究から、睡眠の質に影響を及ぼす因子として、栄養に着目して行なわれた。 本研究の目的は、睡眠時ブラキシズムに関連する栄養素を特定し、睡眠時歯ぎしりと栄養素の関係についての仮説を立てることであった。 2021年に143名の日本人大学生を対象に実施した。ウェアラブル筋電図装置を用いて、睡眠時ブラキシズム群(58名)と非睡眠時ブラキシズム群(85名)を割り当てた。栄養素摂取量を調べるため、食物頻度摂取調査FFQgを用いた。睡眠時ブラキシズム群と非睡眠時ブラキシズム群の栄養素摂取量を評価した。 ロジスティック回帰分析の結果、睡眠時ブラキシズムは食物繊維と関連する傾向があることが示された(オッズ比0.91、95%信頼区間0.83-1.00、p = 0.059)。さらに、食物繊維摂取量の上位四分位と下位四分位の学生を選択したサブグループ解析では、睡眠時歯ぎしりのある学生の食物繊維摂取量(10.4 ± 4.6 g)は、睡眠時歯ぎしりのない学生(13.4 ± 6.1 g、p = 0.022)よりも有意に低いことが示された。以上より、食物繊維は若年成人の睡眠時歯ぎしりを改善するという仮説を立てた。 令和4年度は上記内容について論文作成を行い、本研究成果をJournal of Clinical Medicineに投稿し、2023年3月31日に公開された。
|