2020年度は共同契約を結んだ事業者既存のエクソスーツとその他のエクソスーツを,歯科診療従事者に訪問診療時などでの歯科診療の際,および診療室における通常歯科診療やカルテ作成の際に試用させ,アンケートを実施し,改善点等を挙げた.その結果既存のエクソスーツは,大きく前傾姿勢をとったり,チェアに座って治療やカルテを作成する等,様々な姿勢を繰り返すため,ずれが大きく,使用困難であった.そのため,試作装具は,上下にベルトを追加する等改良が必要であることがわかった. 2021年度は要介護者歯科診療時の術者の体幹角度の計測を行うため,訪問歯科診療時と訪問口腔ケア実施時の歯科医師の姿勢の動作解析を行い,広範囲の撮影の困難さや解析精度について課題が残った. 2022年度は研究室で,2種類のエクソスーツ(背部のゴムの張力で体幹前屈位の腰部負担の軽減を目的とするものと,マジックテープ素材からなる上下の服および様々な長さのゴム製ベルトで構成され,ベルトを自由な位置に張り付けることが可能なもの)を使用し,体幹前屈に左回旋を加えた回旋条件,左回旋と左側屈を加えた回旋・側屈条件で7秒間の課題動作を行った結果,一般的な体幹前屈位の負担軽減を目的としたものより,ベルトを自由な位置に張り付け,回旋や側屈にも対応したもののほうが,胸部および腰部脊柱起立筋や大腿二頭筋の筋活動が低下した. 2023年度はエクソスーツの快適性や使いやすさの評価など,使用者の受容性の調査と,課題動作を5分間維持し,筋活動と同時に筋疲労を測定した.その結果,外骨格の受容性については,使用者に良く受け入れられた.また,腰椎ベルト装着時と比べ、非装着時の方が筋疲労と筋活動が少ないという結果となった.これは,腰部負担軽減には,腰椎の負担を軽減するために適切な筋発揮が必要と考えられているため,筋発揮しやすい状況となった可能性が考えられた.
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